「何が食べたいかというとー」
いや、何も聞いてませんよ。
「自問自答だよ」
自問で止まってますね。
「答えがなかなか出てこないんだよ」
あー、何か分かります。
「食欲が無いわけじゃないんだよね」
そうですね。これというのが無いんですよ。
「しかも、この辺て極端に喰うところ少ないし」
選択肢無いですよね。
「中華と洋食ぐらいしかない」
油分だらけっすね。
「じゃあ間とって、ファストフード」
全然とってないですから。
「より和風な感じの」
んー、何だろう。ハードル高くしてませんか?
「だって、麺なきぶんでもないもの」
まあ、遠くに行ってもいいですけど、一時間で帰って来てくださいよ。
「へーい」と外に出ると、八百屋への配送車の積荷から崩れ落ちたであろう長葱の残骸を見た。
複数車両の通過により引き裂かれ、道路の一部と化している。
何だ、これでいいじゃん。
(了)