えー、明治の文豪に森鴎外なんてぇ先生が居りまして、彼の人が『雁(がん)』の中で主人公の東大生岡田に歩かせる、上野不忍池の対岸にある無縁坂には、積み重ねられた石垣のある旧岩崎邸、坂を上れば岡田の住まう下宿「上条」が登場します。
この下宿上条、現在は跡形も無ェんですが、作中では「明治十四年に自火で焼けた」なんてぇ表記が見られまして、岡田も焼け出されたひとりなんですな。
明治の本郷帝大から時ィ処移しまして、昭和三十六年、夜鳴きの支那そば屋台として始まったなんてぇ老舗の店、平成十七年に自火を出しましたが、こちらは全焼類焼に及ばず、翌年には新装開店しました。
キチゲェ水を頼むと出てきますなんてぇお通し、鶏団子に乗っかる少々の豆板醤と中国三つ葉(パクチー)を同時に頬張りながら、白眉な一品を待つんですがねぇ、丁度時間となりまして、お後と交代で御座ィます。
(了)
投稿者 yoshimori : December 15, 2009 11:59 PM