昔に読んだ民話に『茗荷宿』なんてぇ噺がありまして、宿屋の亭主が大金を持った客に茗荷をどっさり喰わせて、客の金子をせしめようと企むンですがねぇ、次の日にゃァ亭主が客の宿賃を取り損ねるなんてぇサゲが着くンですな。
茗荷を食うってぇと、物忘れが酷くなるなんてぇ云いますが、あたしゃァ茗荷いらずってんで、恍惚の境地を満喫なんですな。
笑いごっちゃァ御座ンせんが、知人が飲んだくれた挙句に鞄ごと失念したなんてぇエピソードを聞きまして、他人事たァ思えないながらにも、自分に限ってあり得ねぇなんてぇ高ァくくってるあたしも居まして、矢張り何処か他人事なんでしょうな。
・・・えー、あー、うー、えーと、あ、丁度時間となりましてお後と交代で御座ィます。
(了)
投稿者 yoshimori : January 22, 2010 11:59 PM