序、
死ぶとの谷から上がる桜が丘にて、麻の暖簾を鼻ッ先でこじ開け、実ぅにすといーくな板前にあないされ、白木のかうんたに座るなり、さけざけのことが木にかかり、徳利と考ぃるから待ちねぇと、燗に障る物言いで、しらす知らずと名を荷い、寒い海から不離を連れ、でぇごでぇごで西の京、揚げっぱなしがまめに富み、真っ澄にさらりとした大の七や、勘定ぶてば20,000だらー。
「お前さんの云うことが、百にひとつも分からないよ」
二、
物足りなさも好かんまま、入らんと馬鹿とは解せねぇ解せねぇ、飯場寒いな、何なら出戻りでぇー。
「あーいー」
(幕)