序、
おやオヤ姐さん、何処かに春恋な声でも見つけたかィ、しんせんなァ肴でも誂えて、卯田の河原でひと泳ぎ、ひでぇ噺じゃァねぇがァ、これでも突っ転ばし之二枚目よゥ、ひらッてぇ眼ェして勘につき、掻きゃァかきゃァで振られ損、田楽くずれの半端もん、でぇこうぶつさァこの薬味、とおっくからわざわざおいでなすって有難う御座ンすねぇ。
「お前さんの云うことが、百にひとつも分からないよ」
二、
張るしかねぇのは博徒の性よ、千代子刺すのも刺されるも、実から出た寂びお銚子もん、いい交した仲さえも、こおり懲おりの遣る瀬無さ、ありんす言の葉身に沁みて、佳代い爪たるなんなんそう、そうでもなけりゃァどうでも出戻りでぇー。
「あーいー」
(幕)