お足元のお悪い中でのお運び、感謝感激雨何とかなんてんで。
坂多き渋谷の奥、連れ込み宿が立ち並ぶ隠微な坂の急勾配脇に煉瓦造りの店が赤く聳えます。
真ッ昼間ッからのキチゲェ水をべらんめぇ口調で捲くし立て、菜譜を眺めまして幾つか品を誂えますな。
切り口も輝かしい香腸、べら旨ぇのにその食べ難さったら無ェ手羽先、何と何と何と何と何が五目か分からねェ炒飯、ふたりで頼むと奇数で喧嘩必至の春巻、最後はこれなんてんで。
五目豆腐(厚揚げ豆腐、筍、椎茸、木耳、絹莢、豚肉、肝臓、海老)
って、五目どころじゃァ御座ンせん。
この後のお座敷に差し支えるってんで、台湾の女中と若い衆にお暇(いとま)をいただき、河岸ィ変えましょうかねぇ。
(了)
投稿者 yoshimori : February 11, 2010 11:59 PM