序、
するてぇと旦那ァ、すがる手ぇさえも振り解き、如何にあっしがそばに居ようと、こうなったからにゃァ是も非も無ェってんですかィ、旦那ァ、そりゃァあまりにも情けねェ、天が許してもあっしが、あ、許さねぇ~。
「お前さんの云うことが、百にひとつも分からないよ」
二、
斯様に乱れた常世なら、枯れた藩さえ浮き沈み、馬をも喰うも無ェ筈で、遍路遍路と担ぎ出し、九死に勝手も長い夜、麦に塗れて種は育ち、茫とさえすりゃァ浅葱萌え、駕籠じゃ駕籠じゃと囃し立て、幾星霜の宵や待ちじゃァのゥー。
「あーいー」
(幕)