魚偏にBlueと書いて鯖とは周知の事実だが、実際に鯖を切り身にして、味が滲み易くする為に庖丁で切り目を入れ、適量の水、中華だし(例えばウェイユーとか、ウェイパーとか)、薄切り生姜、太目の長葱、砂糖、コチュジャン、少量の酒、味噌、醤油、チャムギルムとは韓国産胡麻油のことで、これらを素手で、キレイキレイとかそんなんでよーく洗った素手で、しかも右手でこねくり回して、ぐちぐちぐちぐちと混ぜながら、おいしくなるおまじないとして、発するひとり言の語尾全てに「ぴょん」を付けて、ふと我に返って少しきぶん落ちてみたりしてる間に、なべなべしい鍋に鯖を並べて、その混ぜ混ぜのペースト状も注ぎ込んで、点火、三日点火ぴょん! で、がっくし肩を落として、くつくつくつと煮立ちを認め、火を弱め、たまにおたまで、おたまちゃんで、煮汁をぐるぐるぐるとかけ回しかけながら、十分程煮るかと云えばそうではなく、既に出来合いの鯖を皿に盛り、煮汁をかけ回しながら最後のおまじないだぴょんとばかりに、小粒でひりりと辛い山椒の粉をはらはらはらと振りかけて、彩り系として青菜的なのを塩茹で系にして、そいつら添えて完成か、ほんとにそうなのかみたいな? と半疑問系で自分に問い掛け、妄想力をMax働かせて登場させた、メガネっ子萌えキャリアな遣り手アナリストから「ヴェトナム株は今が買いよ」と耳元で囁かれても何の実感もわかず、既にリタイア気味な我が身を案じて、きもちだけは投資家きどりで街をさまよい、坂の途中にあるアオザイを売る雑貨店の中で、まるくちいさなヴェトナム小物を万引きしてあっさりと捕まり、実は何の投資にもなってないと気付いた留置所の中で、鯖のコチュジャン煮を夢見るのだった。
(了)
投稿者 yoshimori : March 3, 2010 11:59 PM