えェ、本日ァ中央線沿線で御座んす。
青森ァ津軽を模したと思しき佇まいの木戸を開けますってぇと、番台が御座ィまして、下足番兼女中に案内されて梯子段を上がります。
吹き抜けからは囲炉裏が見えまして、旬の活魚が備長炭の炎で浜焼きにされる様をご覧じろなんてぇ趣きでげしょう。
囲炉裏の上ッから始まりまして、三階までぶち抜く、巨大な煙突は純銅製なんてぇ云いますな。
キチゲェ水をいただき、幾つかの品を焼き方に頼みます。
運ばれて来た突き出しァってぇと、卯の花と筍が並び、追い付け追い越せとばかりにキチゲェ水の量は増えてゆきまさァ。
お目当ての鰤の照焼き、銀鱈の煮付けを箸で荒らしまして、蛸の素揚げでちょいとつなぎ、毛蟹の潮汁を啜ります。
満足げに勘定を済ませ、戸外に出るってぇと、外は雪でげす。
番傘ァ開きまして、雪駄に沁み入る冷たさだけを気にしつつ、河岸ィ変えまさァね。
(了)
投稿者 yoshimori : March 9, 2010 11:59 PM