諸事情から幾つかの行動が制限される時もある。
一、
松葉杖の男を見る。
足下見れば、右足首全体に包帯が巻かれており、同所を負傷している様子。
しかし手元見れば、左手一本で杖を使用している。
杖持つ手、逆じゃん?
二、
捻挫の女を見る。
足下見れば、左足首を包帯で巻いている様子。
よくよく聞けば、「ジムで」と云う。
あれこれ想像する前に、ガンダムプレイかと思う。
三、
花粉症の男を見る。
見る見る間に箱ティッシュが減ってゆく。
在庫が尽きたらしく、両の穴に鼻ティッシュという暴挙に出た。
鼻にティッシュが詰めてあるというのに、電話口では「書類にしてから話しましょうか」と云っている。
鼻ティッシュなのにね。
四、
「四つ足の老婆を見たの」
うわ、危険な発言。
「杖を二本使いなの」
松葉杖じゃなくて?
「そういうのじゃなくて、腋を乗せないタイプの」
んー、あ、分かりました。
「でもよく見ると、杖じゃなかったの」
義手?
「どんだけ長いの、それ」
絵的に怖いっす。
「杖じゃなくて、傘だったの」
・・・。
周囲の理解を超えてなお人は、思うままに行動するのだ。
(了)