人と街が動き始めている早い時分、ただ吸うだけの外気は冷たく冴えて澄んでいる気がする。 安いノスタルジィと少しの倦怠感、泥酔の果ての多動性から見知らぬ街を歩いているという錯覚。 巨大建造物だけが、此処ではない何処かを示している。
原風景としては、首都高と暗渠と高層の構造物。 視点さえ定めなければ、気にも留めない物体ばかりが目に付く。
かつての少年はただ歩くばかりだ。
(了)