えェ、お足許がお悪ぅ御座んす。
屑屋さんなんてぇと、落語「井戸の茶碗」、「駱駝」、「子別れ:上(強飯の女郎買い)」、「紙屑屋(浮かれの屑選り)」等等に登場する立役者でして、天秤棒に笊ぅ担っての出商いござんすが、海の遠く彼方、英吉利(えげれす)國における拾い屋稼業なんてぇと、文字通り拾い専門なんてんでこりゃァ商人じゃァござんせん。
道端の屑や襤褸ッ布(ぼろっきれ)を拾い集めるのが「屑拾い」、 溝に落っこっている物を浚って集めるのは「溝浚い(どぶっつぁらい)」、てむず(Thames)河岸で金目のもんを拾う方は何故か「泥雲雀(どろひばり)」なんてぇ呼ばれてましたな。
泥ひばりの主だった拾い物はってぇと、石炭の燃え残り、鉄や銅屑なんてんで、まれに浮かぶ土左衛門を河岸ッから見つけますってぇと、河中からの引き上げも泥ひばりの御役でありまして、そん時ゃァ身に付けた品もんや夏物冬物の剥ぎ取りも辞さなかったなんてぇ云いますなァ。
泥ひばりの名の由来は知りゃァしませんが、北に棲まうひばりは冬になるてぇと南へ渡るってんですから、冬の倫敦(ろんどん)はたいへん寒ぃと聞きますし、春夏秋に泥まみれになりながら河岸をうろつく泥ひばりも冬ンなると、姿を見せねぇところからの命名なんでしょうなァ。
・・・まァ湿っぽい噺になりましたが、丁度時間となりましてお後と交代で御座ィます。
(了)
投稿者 yoshimori : May 19, 2010 11:59 PM