茅ヶ崎、湘南、片瀬、江ノ島、逗子、葉山では、「口が頭の片側に寄っている」という名で呼ばれる仔を捕獲する際、うっかり「口が頭の片側に寄らない」種も捕らえてしまうこともあり、それらはゾエア幼生という物騒な名の連中も含まれるが、その名とは裏腹に愛らしい姿形のままで前述の仔らと共に俎上へと上がり、時には、大地より引き抜かれてその肥大化した主軸は摩り下ろされ、麹菌や酵母で発酵を促された此糸な下地と和えて、好みで真核ドメインに属するという雑に刻んだそれは、甑(こしき)により天まで昇り詰めた八十八柱の神に降り注ぐのだ。
(了)
投稿者 yoshimori : May 20, 2010 11:59 PM