「やばかったすよー、まじでー」
頼むから主語と目的語を何処かにはさんでくれ。
「当たったんすよ、もう激痛、げきいた」
二回言わんでもいい。
「たぶん、三日前のレバ刺しっすね」
安いところで喰ってるからだ。
「しょうがないじゃないすかー、今度いいとこ連れてってくださいよー」
お前だけ生食禁止な。
「まじすか? 焼きはありですか?」
それより、話続けて。
「そうそう、もう超痛くて。あ、盲腸じゃないすよ」
分かったから。
「で、行ったんすよ」
病院に?
「そう、初めは内科かガイ科か分かんなくて」
・・・何て?
「内科かガイ科」
あれはゲ科ってんだ!
「えー? うちの方じゃガイ科っすよー。地方人いじめないでくださいよー」
・・・まァいいや。それで?
「俺、保険証持ってなくてー」
お前幾つになるんだ?
「いや、たまたまっすよ、たまたま。で、人から借りて行ったんすよ」
あー、それは保険組合に対する詐欺行為だねぇ。
「サギだかカラスだか知りませんよ。で、ねぇ、ほら、自分の名前書くとこあるじゃないすか?」
書くね。うっかり自分の名前書いてないだろうね。
「さすがにそれはないっすよ。確かあいつ、下の名前アキラだったよなーって頑張ったんすよ」
頑張っただァ? アキラってどのアキラだッ!?
「何てんすかね、あれ。『あかつき』ってんすか?」
「暁」って書けりゃ上等じゃん。
「いや、あかつきってのは後で知ったんすよ。あれ他の字に似てんすよね?」
えー? 何をぅ?
「よく見たら『焼』って書いてんの、俺。焼いちゃう? みたいな? まじ超うけるー」
・・・。
誰かこいつを裁いてくれ。
(了)
(0306 a-ko改題)
投稿者 yoshimori : June 18, 2010 11:59 PM