深夜の蕎麦処、蕎麦味噌と古漬けを肴に飲んだくれている。
隣席にはスキンヘッドに色付き眼鏡、アロハかと見紛う派手な柄のシャツを着た、香港マフィアの用心棒ばりに雰囲気と恰幅のある中年男性。
悩んでいるのか眠いのか、午後一発目に授業中の高校生男子のように卓上で腕を枕に顔を伏せている。
体勢がつらくなったらしく、その巨漢とも形容できる身重な身体を横たえようと靴を脱ぎ出す。
間髪入れずに止めに入るは、角刈り系従業員。
「お客さーん、寝ちゃァ駄目ですよ」
も、いいから、さ、ね、少し、少しだけ。
「駄目ですよ、起きてくださいよ」
何だよー、いいじゃんかよー、頼むよー、お願いだよー。
「寝ちゃァ困りますよ、ほんとに」
前はさー、そんなこと云う店じゃなかったよー、ちゃんと寝かしつけてくれたよー、何だよーもぉー、お会計っ!
ヴィジュアルからは到底想像が及ばないリアクションのギャップさ加減に、キャラクターグッズ化も考慮したい。
(了)
投稿者 yoshimori : July 2, 2010 11:59 PM