求める味がある。
辣味と麻味。
前者は唐辛子の辛さ、後者は花椒(ホアジャオ=四川山椒)の痺れる辛さを表す。
というわけで、目指すは近所にある四川料理専門店。
しかし、昼時を僅かに過ぎていた為、14時の時点で準備中と知って途方に暮れる。
ただ立ち尽くすだけでは事態は好転しないと思い立ち、歩を進め、代替案として向かうは上海料理専門店。
当店、店名を冠した焼きそばを出す店として名を知られているが、今回の趣旨ではないのでオーダー票からは容赦なく切り捨てる。
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マーボ豆腐
その痘痕面から「麻婆」と呼ばれた劉夫人に対する敬意が微塵も感じない菜単での表記に憤りを覚えつつも、時同じくして頼んだ水餃子ごとやっつけてから次なる店を目指す。
二軒目は台湾料理専門店。
麻婆豆腐
確かに表面には花椒の粉の気配もするし、食してみると口内に拡がる辣味と麻味なのだが、求めている品ではなかった。
あてとして注文した香腸(腸詰)をも完食し、ここで退くのも勇気ある決断と信じ、一時撤退を余儀なしとした。
一時間後、約束の地は17時半からの営業という。
開店と同時に訪れると、スタッフのひとりはまだ誰ひとりとして座る客の居ない店内へと導き入れてくれる。
四川(スーツァン)表記の菜単が手渡される。
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八宝蒸湯
鶏を丸ごと半日煮込み、朝鮮人参、鼈、長葱、クコの実、大蒜、棗、生姜が入るという。
滋養が沁みてゆく。
正宗担々麺
映り込んだ影は容赦願いたい。
汁なし担々麺である。
辛味はさほど感じられず、少々ショルダースルーな感じ。
麻婆豆腐
映り込んだ影は容赦願いたい。
五徳と土鍋が厳かに運ばれ、スタッフが「花椒の風味が丁度よい頃にお取り分け致します」と言い残して去り、再び現れた後は碗に盛り付けて、土鍋を五徳ごと引き上げてゆく。
卓上に残されたのは、ミル付きの「若い芽の花椒(赤)」と「花椒(黒)」だった。
この辣味と麻味に合う為に、上海、台湾と遠回りして四川に帰って来たのだ。
次こそは12時に来ようと思いました。
(了)
投稿者 yoshimori : July 10, 2010 11:59 PM