September 28, 2010

『九月下席~筑前西海道』

炭火と油脂でもうもうと煙る炭火焼専門店に来ている。
働く若造どもは元気だけのみオンリーそれだけが取り得という御尊面(ごそんづら)の様子。
まずはと日本人ではない従業員に生ビールを頼む。
運ばれてきたグラスに口を付けると、・・・びーる以外の酒の味がする気がする。
疲労で味覚が壊れているか、若造店員の食器洗浄が甘いかどちらかだろう。
まァそこは軽くスルーしといて、メニューを右端から順に朗読する。

かわ
・・・ 数年前まで焼き方担当だったという兄ィはもういない。
「あのひとのかわがうまい」とはカニバリズムな発言である。
きも(レバー)
・・・ 血も滴る軟らか仕上げ。如何せん、具材が小さい。
こころ(はつ)
・・・ 同上。
ねっく
・・・ 食した記憶がない。忘れられたかもだ。
つくね
・・・ 団子状でタレ。普通である。黄身は付かない。
ミニトマト
・・・ 丁寧に焼かれた感が微笑ましい。
ししとう
・・・ 小振りなのを四つ、塩で。
味付うずら玉子
・・・ 本日いちばんカラダが欲していた味である。更にタレも掛かる。
しいたけ
・・・ 半分にぶった切られた傘と石突を落とした柄が交互に刺さる。
ゴーヤ
・・・ 輪切り一つと半月一つが刺さる。塩加減が程好い。

〆は鶏スープで仕上げた茶漬けとする。
ふるえる、じゃなくてふえるわかめちゃんの塩気ばかりが目立って、鶏味がさほどしないのは残念。

梯子したい気持ちを首根っこ押さえ付けつつも、何故か新宿方面を目指して歩いている。
道中の誘惑の多い事、危険が危なくって険しい限りだ。
それでもと血が滲むほどに唇を噛み締めながら、目を瞑り何もかもを振り切って副都心線に乗って帰るのだ。(涙)

(了)

投稿者 yoshimori : September 28, 2010 11:59 PM
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