暗渠の上を通す路地沿いにある一軒、暖簾を鼻ッ先で抉じ上げて格子戸を引き開けると其処には板の間の小上がりがあり、卓上には来るべき客を迎えるべく膳部が整っている。
大将ひとりの他誰も居ない様子である。
まずは一献と熱いのを。
突き出し
◇鮪の生姜煮
焼魚
◇喉黒(兵庫・香澄) ・・・ 当節の香澄産は小振りだが、夏季の佐渡産が最上級という。
造り
◇皮剥 ・・・ 裏漉しした肝付きでいただく。
一品
◇九州赤茄子焼き ・・・ 未就学児の二の腕ほどもある長やかなる赫々しい其れは焼かれると横に長い焼魚皿にしんなりと収まる。
他にも煮物を幾つかいただいたが、内容物を失念。
元来繁華な週末とはいえ、隙間を突く形で夕餉を終えて勘定を済ませる。
帰りしな立ち寄った店で玉葱と粒マスタードを求めて家を目指すのだ。
(了)
投稿者 yoshimori : November 6, 2010 11:59 PM