久方振りの東西線でござんす。
本日ァ神楽坂での落語会でさァね。
『第3回 ふじ特選落語会 志らく・菊之丞 二人会〜これが私の十八番だ!』
@神楽坂・音楽の友ホール
此処ァ「くらしっく」音楽演奏専用の箱てぇ話を伺いました。
まァどちらも「古典」なんてんで、ざっくりとした括りですがねぇ。
音響効果を狙ってか天井は高く作られておりまして、観劇向けの斜め構造ではありませんで、後ろになるてぇと高座の師匠方の手元がよく見えません。
入船亭辰じん◆手紙無筆
本編:
本所の叔父は本膳で使う食器類を借りる話を上野にて甥にしておりましたが、其れが手紙の内容と一致するかは別の話で御座ィますな。
サゲ:
「平(ひら)の陰に隠れて分からなかった」
後で知るンですがねぇ、「平」とは「膳」の事だそうで。
塚越孝◆ご案内
「livedoor事件を期にニッポン放送からフジテレビに異動しました、塚越孝でございます」
「私の出囃子は南こうせつさん作曲の『塚ちゃん音頭』といいます」
「出囃子といえば、今日来ているある師匠は、とある事情から出囃子を変えたそうです」
「地方では掛けてたそうですが、東京では今日が初めてだそうで、記念すべき日となりますね」
「・・・皆さん、思ったより反応してませんねー」
古今亭菊之丞◆権助魚
「先日、高崎の方で落語会がありまして」
「尺八漫談のはたのぼるさんと一緒だったんですよ」
「東京から車に乗りまして、一同会場に向かうんですが」
「会場は文化会館、の裏ッ手の原ッぱなんですね」
「此処(会館)で演らせてくれりゃァいいものをねぇと主催者に伺いましたら」
「『うちはずっと青空寄席ですから』って云うんですね」
「で、まァ根多探しの為に近所を散策しましたら、その辺に私の顔写真付きでポスターが貼られてるんで、ちょいと見てみましたら」
「『雨天の場合は文化会館で行います』って書いてあるんですよ」
「じゃァ此処(会館)で演らせてくれよと」
「私ら、雨降ってくれーって祈りましたね」
「・・・降りゃァしませんでしたけど」
立川志らく◆金明竹
前座の柳家まめ緑ねえさん、蓋付きの茶碗を運んで高座に置いてゆきます。
「師匠の談志、今ァ全然声が出ませんで」
「其れを笑って・・・いや、笑っちゃァいませんが、そうしましたら今年ンなって、あたしの声が出なくなりましてねぇ」
「此処に茶なんて置くのは、名人か爺だけですよ、本来は」
本編:
志らく版『金明竹』では、上方訛りの中橋の加賀屋佐吉の使いは、大坂の亜米利加人というぶっ壊れた設定でした。
塚越・志らく・菊之丞◆鼎談
両師匠とも自分の師匠が大変に厳しいというえぴそーどを話しておられます。
塚:
「志らくさんは談志の名前は継がないんですか?」
志:
「あたしは、名前は個人の物と思ってます」
「ジョニー・デップがマーロン・ブランドになったりはしないですよね」
「二代目森繁久彌ですって云われても、お前は違うだろうと」
菊:
「つい二日前の話なんですが」
「私の弟弟子に菊六っていう二ツ目がおりまして」
「うちの師匠の圓菊が現在リハビリ中でして、お見舞いに行ったんですよ」
「そしたら圓菊がですね、菊六に向かって」
「『お前、圓菊の名を継ぐそうじゃないか』って云うんですよ」
「『皆そう云ってるぞ。そしたら、俺ァ菊翁(きくおう)にでもなろうかなァ』」
「って、木久扇(きくおう)はもう居るから」
お仲入りで御座ィます。
古今亭菊之丞◆棒鱈
本編:
「もずのくつばす(百舌の嘴)」
「じゅうにかげち(十二ヶ月)」
「りきゅう(琉球)」
立川志らく◆駱駝(らくだ)
本編:
「らくださん、誰の絵ェ描いてんですか」
「此れか? 此りゃァよ、俺の兄貴分で丁の目の半次っていう人が居るんだ、此れが強くてよォ」
「へぇー、らくださんが強いってんですから、余ッ程強いんですねぇ」
「おうよ、初めは気に入らねぇからやっちゃおうと思ったんだけど、逆にやられちゃってなァ」
「だけど絵に描くくれぇですから、此の人を好きなんでしょうね」
「そうよ、俺ァ此の人大好きだね、で屑屋な、此の大好きな兄貴の絵を買えッ」
「買えったって、らくださん、此れ砂に描いた絵じゃァないですか」
「いいから買えってんだよ、ンの野郎、優しく云ってるうちに」
「・・・分かりましたよ」と屑屋、袖の下に砂を掻い込む仕草をします。
「おゥ屑屋ァ、もっぺん兄貴の顔見たくなったから此処に出せッ」
追い出しとなりまして会場を後に、外ァ寒風吹き荒ぶばかりでござんす。
此の後、蛸、蜂の巣(牛の胃)、白子なんぞを引き裂きつつ口ン中ァ放り込みまして、ひちりあの地葡萄から出来たなんてぇ白葡萄酒をいただきまして、かつての花街の夜ァ更けゆくので御座ィます。
(了)
投稿者 yoshimori : January 18, 2011 11:59 PM