January 14, 2011

『背戸の僧伽藍(せどのそうがらん)』

旧町名を今に伝える町町を徘徊。

◇原
<本日の珈琲>
"Mexico Espana"
(メキシコ・エスパーニャ)

◇籠
公園に来ている。
小生の座る場所とは少し離れたベンチに向かい、やや内股加減な男は皇室行事の参加者のような足取りにて粛粛と歩いている様子。
左右の手に在るのはそれぞれ湯が並並と満たされたカップ麺である。
当初、それは後から来るであろう連れの買い求めたカップ麺と信じていたが、一向にそれらしき人物は現れず、内股男は初めに手首に提げたビニール袋より取り出した草鞋(わらじ)程もある唐揚げだかカツだか分からない揚げ物を二枚平らげ、その間に麺はみるみると伸びてゆくのは知っている筈なのに、更にもう一品の食べ物らしき何かを腹中に収めつつ、それから悠々とまずは「カップヌードルカレーBIG」と書かれた印字面を見せ付けながら飲む様に啜り込み、続けざまに「すみれ札幌味噌」と辛うじて読めるカップをスープまで飲み干すのだ。
麺が伸びちゃうのも承知の上とは、嵩(かさ)増やしなのだろうか。
しかもこの男、麺を啜り込む際のひと息がやたらに長く、麺を噛み切らずに最端まで嚥下したいようで、途中で休みながらも麺は常にスープ海から引き上げられて口中へ伸びており、咀嚼だけの瞬間がまるで存在せず、ひとつの所作が泰然としており、コンビニにゆく途中の坂でビバークするが如き悠久な動作である。

◇柏
公園前にある網元直営店に来ている。
まずは冷酒を。
「十四代(山形)」、「越後の穂高(新潟)」、「瑞兆(神戸・灘)」と続ける。
寒鰤、蛍烏賊、〆鯖、金目粕漬焼き、蟹味噌をいただく。
・・・金目の出来が残念である。
小骨があるのは致し方ないとしても、焼き方が甘いのか水っぽいのだ。
そして、ごめん、ほたるいかはまるで残した。

(了)

投稿者 yoshimori : January 14, 2011 11:59 PM
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