えェ、お寒ぅ御座ィますな。
本日ァ新宿での寄席でして、寄席と申しましても定席じゃァござんせんで、所謂「ホール落語」で御座ィます。
前売は完売なんてんで、会場は大入りの様子でござんす。
通り掛りました当日券窓口では「大人二枚」と仰る肆伍拾(40,50)代と思しき勤め人な方々に「一枚しかありません」との返しなんてんで、此のお二方ァ入るのをお諦めなさるのかと思いきや、「終わるの九時過ぎ? じゃ後で」と、年長らしき方は手前の分の木戸銭を払いますてぇとさっさと入場しちまいやした。
何ですか格差社会てんですかねぇ、残された方は何処で時間を潰すてんですかねぇ。
『第553回 紀伊國屋寄席』
@新宿・紀伊國屋ホール
十八時半からの開演なんですが、寄席らしく前座は其れより少ぅし前に高座に上がります。
春風亭朝呂久◆笊屋
サゲ:
「あっしは旦那を担いでおります」
柳亭小痴楽◆浮世床
「小さな痴漢を楽しむと書いて小痴楽と申します」
「今日、JR新宿駅から歩いて来たんですが」
「喫煙所で一服してから行こうと思いまして、駅前の喫煙スペースに行ったんですよ」
「そしたら、こんな耳付けたメイドさんの格好した女の子四人がですね」
「雲○座りしながら煙草吸ってるンですよ」
「こりゃァ凄ぇのを見たなァとまァ眺めてましたら、その中のひとりと目が合いまして」
「『何見てんだゴラァ!』って云うンですよ」
「耳付けたメイド四人が煙草吸いながら雲○座りですよ、そりゃァ見ますわねぇ」
「で、黙ってたら四人が私を取り囲みまして、ワァワァ云うんですよ」
「『黙ってねぇで何か云えよゴラァ!』って云いますから、そんなら云ってやろうじゃねぇかと」
「『どうか許して下さい、ご主人様!』って土下座したら、面白ぇって許してくれました」
「どうにか今日も無傷で此処へ辿り着きました」
柳亭燕路◆だくだく
「気付けば前半に出てくる噺家全員が『柳亭』なんですね」
「一人目が落語芸術協会の柳亭小痴楽さん」
「で、落語協会の私、柳亭燕路。次に上がるのが落語協会副会長、柳亭市馬師匠ですよ」
「わりと地味な亭号だとはおもっていましたが」
「いよいよ柳亭の時代が来たのではないかと」
柳亭市馬◆御神酒徳利
サゲ:
「なァに嬶ァ大明神のお陰」
お仲入りで御座ィます。
柳家権太樓◆笠碁
権太樓師匠、めっきり老けてしまいましたなァ。
白髪が増え目方が減ってそう見えるのでしょうか。
お身体を大事にしていただきたく存じます。
三遊亭小遊三◆味噌蔵
『笑点』でお馴染みの方で御座ィますが、らいぶでは初めてでした。
十年以上前に此の方を夕間暮れに大塚駅前で見掛けた事がありましたが、元々ご近所でらっしゃいましたか、ねおんが光る繁華な街にご用向きがあったのか分かりませんがねぇ。
追い出しが鳴りまして、寒風吹き荒ぶ外へと追いやられます。
つなぎが布海苔なんてぇ「へぎ蕎麦」でも手繰ろうかと店ぇ目指しまして、越後な郷土料理をあてに地酒をいただきまさァね。
(了)
◇緑川(新潟・北魚沼)
◇越乃景虎 超辛口(新潟・栃尾)
◇想天坊 大辛口(新潟・長岡三島)