March 08, 2011

◆『東海道鳴海宿』

えェ、お寒ぅござんす。
本日ァ江戸川区での落語会で御座ィます。

十七時半に作事場ァ離れますてぇと、競歩にも近い速さで駅ィ目指しまして、水道橋より総武線で向かい降り立つ先は新小岩
当駅南口より会場までは徒歩で十五分てんですから、見知らぬ土地でてろてろ歩くてぇと開演に間に合いませんやね。
幸いにも路線ばすがありまして、乗っかりますてぇと僅か三停留所で下車しまして、人工の小川の先の瀧ィ眺めながらの会場入りで御座ィます。

『第104回 江戸川落語会「若手特撰会」』
@中央四丁目・江戸川区総合文化センター

客席にいらっしゃいました乙武洋匡氏が何故か開演早早に退場されまして、局地的にざわめいておりましたなァ。

林家まめ平◆子褒め

「林家正蔵の三番弟子です」

古今亭菊之丞◆湯屋番

毎度毎回仰います「青森保育園児の箆」マクラから入りまして、入試問題ネット投稿事件、亡くなった柳家つばめ師匠の泥棒小咄へと繋ぎます。

「お前か、今まで盗んだ物をひとつ残らず憶えてるってのは」
「へぇ」
「勿体無い、そんな頭があるんなら東大でも入れるんじゃないのか」
「へぇ、あんな所、ドライバー一本でさァ」

柳家喬太郎◆竹の水仙

下座さんが爪弾く出囃子『梅は咲いたか』が流れまして高座に上がります喬太郎師匠、緋毛氈の上の座蒲団の色が着物と同色の紫でして、喋る前から笑いを誘います。

本編:
流石は喬太郎師匠、巷間に伝わる『竹の水仙』演出じゃァござんせんで、京の御所にて竹の水仙を一度目にしたという毛利大膳大夫から旅籠大松屋佐平方の軒下の一輪挿しに咲く其れを買い求める様仰せ付かった近習がテンパった状態で宿役人に佐平と竹の水仙を屋敷に参る様求めますが、此の宿役人が柳家権太楼師匠演出による『疝気の虫』其の儘でして、身体を斜めにしつつ高座に頭を擦り付けるが如く仕草にて「すいませんッ!」をテンパリながら連呼します。

お仲入りで御座ィます。

柳家三三◆笠碁

本編:
会場脇通路にてご婦人等が少ぅし気の利かない音量で喋ってまして、碁盤を眺めながらカゼ(扇子)を煙管に、マンダラ(手拭)を煙草入れに見立てて煙草を吸う所作演出中の三三師匠、堪り兼ねて発言します。

「何か脇でごちゃごちゃ云ってて集中できないんだけど、此の一手上げて貰いたいね」

林家正蔵◆蜆売り

またですかぃ、正蔵師匠、あたしゃァああたの高座は生で三度拝見拝聴させて戴いておりますがねぇ、此の噺を聞かされるのも三度目だってんすよ。
初めて伺いました時にゃァああた黒紋付坊主頭に凄味のある親方の声が実に嵌ってましてねぇ、「想像よりいいじゃん」ぐれぇには思ってたてんですよ。
ところがァ二度目以降はよく分んねぇ色の着物で髪も伸びちゃってまァ、其れだけならまだしも回を追う毎に藝が荒れてやしませんかてんだ。
「俺(おい)ら、蜆屋じゃァねぇよ」って何だぃ、あいつァ下駄泥棒かてんだよ、オイ。
同ンなじ噺ばっか演ってねぇで、偶にゃァ他の噺でも稽古して高座で聴かしてみろぃ、えェ、こぶ平さんよう。
・・・まァ、色色云ってはみたけれど、小言は小言だ。
祖父さんの名跡背負ってンのを忘れねぇで、しっかりやるんだよ。(妄言)

追い出しが鳴りましてお開きで御座ィます。
焼肉屋ばかりの此の地を後にしまして、総武線快速で一駅の繁華な所へゆくんですがねぇ、丁度時間となりましてお後と交代で御座ィます

(了)

※鳴海宿 ・・・ 東海道五十三次、四十番目(現・名古屋市緑区)

投稿者 yoshimori : March 8, 2011 11:59 PM
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