March 13, 2011

『継ぎ目無きヘリウムの都』 (第弐回)

<駁>
協力者よりを提供され、早速乗馬してみる。
広大な草原を駆け抜けるのだが、前に「跳ぶ」ぐらいしか動きが無いので爽快感が然程あるとも思えない。
岩場にて四ツ足の野獣に襲われて即座に下馬し、馬を置き去りにして高台へと逃げる。
馬、孤軍奮闘とばかりに棹立ちになり、二本の前脚犬科の猛獣を幾度となく踏み付けて圧殺
悠々と高台から降りて、獣の毛皮を剥ぐ。
・・・ごめんね、あっさり見棄てたのに助けて貰っちゃって

<不毛>
夜半に野営中の男女数名と遭遇する。
不動産業者より購入した土地にて部族同士が抗争中の為、所有地へ近寄れないという。
解決方法は二つ。
一つは(詳細はうろ覚えだが)部族間の争いの種である神具を甲の部族より奪い乙に渡す案と、もう一つは乙側の神憑り的な指導者を殺害し統制下の手下を混乱させて部族自体を雲散霧消させる案という。
つまり、甲乙のいずれかの肩を持てば戦争は終結するのだ。
一匹二匹であれば相手にもするが、団体戦は好ましくないと判断して無言でその場を離れる。(しかも味方はだけだし)

<樹ノ精>
深夜の大聖堂裏にて奇人として知られる男より監視の依頼を受ける。
男は複数の悪意ある連中より見張られているという。
三組いる監視対象の誰もが、悪意も無ければ謀略も無い市井の人々である。
数日間に渡る調査をし終えて問題無しと報告した結果、男は逆上し斬り掛かって来た
気の触れた耳の長い小男に負ける気はしないのだが、街中で斬り合うのも野暮とし、通り掛かった官憲の手に委ねる。
幸か不幸か男は自宅前にて公的に斬殺され、街の人々は死してもなお彼の奇行癖を嘆くのだった。

(續く)

投稿者 yoshimori : March 13, 2011 11:59 PM
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