既婚者二名、独身者二名と新宿区に居る。
(当然小生、後者に含まれる)
大衆居酒屋の二階へと通されたのだが、客の入りといい通常の週末とは少し雰囲気が異なるのは氣の所為だけではあるまい。
前述の既婚者と独身者を更に細分化してみると、既婚者のうちひとりは離婚調停中である。
何がどうなって揉めているのか詳細は失念したが、離婚後の財産分与的なあれという。
そして、独身者のひとりには最近まで妹が実家に居たのだが、最近農家へと嫁いでしまい、常にこの世の終りぐらいの危機感を募らせていると語る。
アルコヲルが時間の経過と共に件の独身者の心身を蝕んでゆく過程がよっく伺えたりもする時間帯なのだ。
「お前ら死ねばいい」
始まったね、えーと、二十三時四十八分開始、と。
「メモんな、ていうか俺もう帰るし」
もう帰れないんだからさ、諦めろって。
「いや、まだ電車あるし、ていうかお前ら全員死ねばいい、ここに居る奴ら全員な」
いやいや、他の人は関係ないから、指差すなって。
「じゃあ俺が死ぬ」
いいよ、骨ぐらいは拾って犬にやるから。
「冷てぇーなぁーもーう」
暴れんな、犬が怖がるから。
「いねいぬぃし、・・・犬居ねぇし」
今、噛んだね。
「犬は咬むんだよ」
どうすりゃいいのさ。
「お前ら死ねばいい」
あ、戻った、えーと、二十三時五十二分戻る、と。
「メモんな、ていうか俺もう帰るし」
同んなじだ、凄いね。
「凄いんだよ、俺は」
あんまり見た事ないけど。
「・・・お前が死ねばいい」
あ、少し変わった、えーと、二十四時十二分変わる、と。
以上の遣り取りが午前五時まで繰り返されるのが、件の独身者の週末の過ごし方なのだ。
(了)
投稿者 yoshimori : March 25, 2011 11:59 PM