April 16, 2011

◆『越南⇒新嘉坡』

えェ、ご陽気さんで御座ィます。
なんて口上を述べておりましたら、一転俄かに掻き曇りまして狐の嫁入りと相成りました。

『前進座劇場プロデュース 寄席噺を楽しむ その47「立川志の輔独演会」夜の部』
@吉祥寺南町三丁目・前進座劇場

井の頭公園に着いた頃にゃァ雨は止んでまして、ァ手に持って歩くのが厭んなりますな。
夕刻からの公演なんてんで、短い時間で二軒梯子しまして会場に向かいます。
・・・余裕を持って行動してる筈なんですがねぇ、昼間ッから飲んだくれてるてんで、時間に追われてながらの会場入りでござんす。

立川志のぽん◆元犬

「志の輔の五番弟子です」
「僕は犬とメロンが苦手なんです」
「実家で犬を飼う事になりまして、僕は猛反対しました」
「もう厭ですから、両親に向かって『犬と僕とどっちを取るの!?』って聞きましたら」
「翌日、うちに犬がやって来ました」
「飼い始めたら、もうね、可愛いんですよ、これが」
「今では実家で犬と遊びながらメロンを食べています」

立川志の輔◆茶の湯

志の輔師匠、本日の昼公演を終えて既に声ががらがらです。

「先日、青森の独演会に行って参りました」
「公演中客席から一斉に緊急地震速報の音が鳴りましたね」
(緊急地震速報の音の口真似)
「・・・あの音はDoCoMoだけでしたかね」

「地方に行きますと公演中に携帯の着信音がよーく鳴っております」
「前半と後半では、何故か後半の方がよく鳴るんです」
「何でだろうって考えてやっと分かったんですよ」
「前半ではアナウンスもありますし、皆さんちゃんと電源を切ってるんですね」
「で、中入りの休憩になりまして一旦外へ出ますね」
「地方はあの、車文化車社会ですから、帰り迎えに来て貰う為に携帯で連絡入れてるんですよ」
「『あ、母ちゃんか、俺俺、うん、そだなァ、終わんの九時ぐれぇかなァ、その頃に迎え来てくれや、頼まァ』」
「って一旦入れた携帯の電源はそのまんまなんですよ」
「で、後半が始まりまして、九時頃に迎えの車が来ますよね」
「迎えの人が会場のホールを覗いてみると、其処には誰も居りません」
「何故居ないかというと、あたしが未だ此処でお喋りしてるからです」
「迎えの人は九時も近いのにホールに人が居ないのを見て、もうとっくに公演は終わっていて皆移動しちゃってると思い込むんですね」
「『あ、誰も居ねぇや、悪ィ事したなァ、そだそだ、父ちゃんに電話してみよ』」
「ってこういう迎えの車からの連絡で一斉に会場が鳴る訳ですよ」

「今、被災地の映像がテレビで流れてますね」
「あれを見ていて思うのが、人間って強いんだなって事です」
「映像では自宅が津波で流されてしまって、瓦礫の中を掻き分けて歩くお爺さんが映ってます」
「居間だったんでしょうか、テレビ台の上に津波で流されて来たマンタ、マンタって頴娃(エイ)ですね、そのマンタが台に乗っかってるんですよ」
「どうするんだろうって見てましたら、お爺さんは其のマンタをこう両手で抱えて移動しようとしてるんですね」
「『・・・お前ェも災難だったなァ』って話し掛けてるんですよ、マンタに」
「・・・人間って凄いなァと思いました」

本編:
噺の中に登場します「椋の皮」について解説します。
「椋の皮の成分は戦前の石鹸に含まれていたそうです」
「・・・以上、暮らしのワンポイントアドバイスでした」
噺の中に登場します「藤村羊羹」について解説します。
「此の藤村というのは、キャンディーズのミキちゃんの実家なんです」
「・・・別に云わなくてもいいけど、知ってるのに黙ってるのもどうかと思って」

お仲入りで御座ィます。

松永鉄六◆長唄三味線

三味線の音で江戸の情景を促そうと、めどれー仕立てになっております。
大川(隅田川)から始まり虫の声、按摩笛、犬の遠吠えと続きまして、新内流しから幽的、最後は悲鳴と共にでばったりと高座に倒れます。
「・・・此れで終わってしまうと、『悲鳴のねえさん』と呼ばれてしまいますので最後にもう一曲」

◇二人椀久(椀屋久兵衛)

立川志の輔◆メルシーひな祭り

「シンガポールにあるマーライオンは世界三大がっかりと呼ばれておるそうです」
「最近新しくなったそうで」
「今までは湾からの外敵から守る為に外に居たんですね」
「ところがですね、矢張り其処は観光地ですから、観光客が移動し易い様にと湾の端と端を橋で繋いじゃったんですよ、日本の西松建設さんの提案で」
「そうすると、橋の内側にマーライオンが居るのは如何な物かと事になりまして」
「マーライオンの新たな位置を風水師に決めて貰いました」
「あの国は何でも風水で決定しますから」
「それで、移動した先で落雷がありまして、・・・半分に割れてしまったんですね」
「全然良くないじゃん」
「そしたら風水師、負けちゃァいませんね」
「『元の場所に在ったら観光客に怪我人が出てたけど、今の位置に在るから誰も怪我せずにマーライオンが全ての災厄を引き受けてくれたんだ』って」

高座と客席での一本締めにてお開きで御座ィます。
中央線、総武線と乗り継ぎまして、沖醤蝦の塩辛を付けた蒸し豚を辛味大根、白髪葱と共に白菜漬物に包む一品を給する店を目指しまさァね。
電池が切れるまで飲んだくれるのが週末の醍醐味でござんす。

(了)

投稿者 yoshimori : April 16, 2011 11:59 PM
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