April 29, 2011

『終ノ棲家』 (第弐拾壱回)

<小作ニ不向キナ無産階級>
自分の弟が自由の無い状況下に囚われており不憫だと嘆く兄より相談を受ける。
聞けば、彼の八名の弟は近所の地主奴隷として使役されており、重労働の後に檻に入れられ、虐待されているという。
兄より弟を解放して欲しいと懇願され、正義の名の下に物欲を最優先とした任務を遂行する運びに。
檻の錠前を開錠し弟らを野に放った結果、内三名は見張り役の兵士より脱走の懲罰として殺害されたが、兵士側は二名を失っており、他の弟五名は脱出に成功したのでまァ好しとしよう。
以上の内容を兄に報告すると、可愛い弟に犠牲者を出したのを咎められるかと思いきや、意外にも彼の第一声は威勢も良い"Good job!"であった。
兄の取り巻きである緑肌の男達からは「我々と変わらないくらい醜く汚らわしい存在」等と賞賛され、其の微妙な言葉選び苦笑せざるを得ないのだった。

(續く)

投稿者 yoshimori : April 29, 2011 11:59 PM
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