肉肉しい一日である。
近接した最寄り駅が存在しないという地階に店を構える専門店へと向かう。
同行者は既に着座している様子。
遅れた非礼を詫びもせず、ぞんざいに座り込むと店員を呼び付けて咥え楊枝にて発注。
特に伺いもせず、「特選」と名付いた品を頼む。
ミスジ
サブトン
ヒレ
ハラミ
トモサンカク
どれもが腔中にて蕩ける高品質ではあるのだが、幾つかの種は希少部位の為に各各一枚ッ切りなのが切なさを助長する。
とは云え、わさわさ焼いてもりもりと喰いたいかと問われれば、否、少しが好いと答えるのは目に見えているのだ。
後は定番とも呼べる品品を幾つか喰らい、期せずして鬼教官と化した同行者の下で涙ながらに慈悲と教えを乞い、打ちひしがれた面持ちで帰路に着くしかないのだ。
(了)
投稿者 yoshimori : May 5, 2011 11:59 PM