霧雨そぼ降る中を歩いている。
雨脚は強さを増すばかりである。
道行く人の傘の多さに辟易しながら流れに逆らってゆく。
酒精と幾ばくかの肴を求めて久方振りに訪れる地階の店である。
先ずは一盞。
◇三十六人衆(山形・酒田)
◇綿屋(宮城・一迫)
いささか時候は外れるが、鍋で煮込まれた具材も幾つか。
大根、生麩、牛たん、里芋、蛸、つみれ、筍。
他、大将手製の葛豆冨を一丁。
河岸替えする頃合いに表へ出るが、未だ降り續けている。
傘なんぞ持たなければ、手にする煩わしささえ覚えないのに。
(了)
投稿者 yoshimori : May 12, 2011 11:59 PM