May 17, 2011

◆『美輪ト丸山』

本日ァ例の東北の一件の影響にて延期となりました落語会でござんす。

足許の悪い中、地下鉄を乗り継いで降り立ちますは新宿御苑
会場のある建屋にゃァ埼玉発祥のはんばーがー屋が在るんですがねぇ、何故か本日に限って休んでおりました。
致し方無ぇてんで、一度屋外に出まして御苑前にある喫茶店にて麦酒を戴きます。
店内は蒸し暑く、引き戸を開けようと努力しますが、終ぞ自力では無理でござんした。
何か仇してやろうと、螺子式の錠を開けた儘にしまして店ェ後にしますな。

『神楽坂伝統芸能2011 落語・演芸企画「神楽坂落語まつり」
「神楽坂劇場二人会」』
@内藤町・新宿区立四谷区民ホール

元来、三月十五日(火)に執り行われる筈だった本公演が本日、五月十七日(火)に延期されまして、同会別枠の入船亭扇辰・柳家喬太郎両師匠の高座が三月十四日(月)から五月十八日(水)と相成りました。
此れ、数字の罠なんですがねぇ、行かない予定の前日公演が延期後に対となっている公演の翌日となっているてぇのが、脳が劣化したあたしには何とも厳しい記憶作業でして、日付ェ間違ってやしないかといちんち不安になりまして、幾度となくテケツ(前売券)を出しては入れ入れては出し、其の都度ィ見比べたりしてましたなァ。
今ァ此れ書いてても分からなくなりまさァね

柳家まめ緑◆寿限無

本編:
孫の名を最後まで云えてない祖母が登場します。

柳家花緑◆宮戸川

「僕の一番弟子は初花(しょっぱな)と云います」
「師匠の小さんが名付けた最後の前座名なんです」
「僕は初めて弟子を取るに当たって前座名を四十個ぐらい考えたんですよ」
「で、師匠の小さんに考えた名前を見せたら、師匠は初花と名付けました」
「・・・僕の考えた四十個は全否定してですよ」

本編:
締め出しを喰った商家の若旦那、半七は霊巌島の叔父宅へ行こうとしますが、船宿の娘、お花にも叔母が居ると云います。
「叔母が・・・ヨルダンに居ますの」
此の噺、二人が霊巌島にある叔父宅にて二階であれこれする噺なんですがねぇ、花緑師匠はお花ではなくて半七の媚態描写となっておりました。
「其の時、肌蹴た胸元から半七の痩せッ扱けた肋骨(あばらぼね)が・・・」

古今亭菊之丞◆お見立て

前方(まえかた)の花緑師匠の『宮戸川』に対して一言。
「・・・落語に対する冒涜ですねぇ」
まァあにさんに向かってばっさりですなァ。

「噺家は年中着物で通して居ると思われがちですが」
「ほとんど人は洋服で楽屋に来て着物に着替え、高座の後また着物を脱いで前座に畳ませて洋服を着て帰ります」
「今ァ年中着物で通しているのは(落語藝術協会の桂)平治師匠と(落語協会の柳家)さん生師匠ぐらいですかねぇ」
「あたしも家で稽古してる時に気分を変えて浴衣に着替えたりするんですが」
「そういう時に限って宅配便の方が荷物を持って来るんですね」
「家に誰も居ないとあたしが出るしかないですから」
「『はい』って出ますと、『ご病気ですか?』と云われました」
「まァまたあたしが着ると此れが似合うんだ、ほんとに病人みたいで」

「此の間、クリーニング屋にジャケットを出したんですよ」
「袖んところを汚しちゃったんで、『此れお願いしますね』って渡すと『仕上がりは明後日』って云うんですよ」
「で、二日後に受け取って、家に帰ってジャケットを見ますと、全ッ然落ちてないんですね」
「此れしょうがねぇなァって、又店に持ってって『如何なってんの此れ』って云ったんです」
「そしたら、『其れほんとにうちに出したんですかァ、タグ付いてませんねぇ』とか云いやがるんですよ」
「其れでも矢ッ張り証拠が無いてんで、まァ頭に来ましたがもうしょうがねぇやと家に帰りましてカミさんに云ったんですよ」
「そしたらカミさんが云ったのが、『あんたの噺と同んなじね、落ちそうで落ちないのよ』って」
「・・・あれはそろそろ如何にかしなくちゃいけないと思ってます」

「電車に乗ってましたら、あたしが座った目の前に女子高生が二人吊り革に捉まってましてね」
「此の二人が、ご時勢でしょうか、互いに節電自慢をするんですね」
「自分がどれだけ電気を使ってないか云い合ってるんですよ」
「まァ感心な話じゃァないですか」
「『パチンコ店の灯りって要らないよねー』」
「そうだなって聴いてましたら」
「『そうそう、台さえ動いてりゃァいいのよ』って」
「また、もう一人は『あたし、自販機では煙草買わなーい』なんて云ってました」

本編:
あたしの知る限り、五街道雲助師匠と同ンなじ型でした。
共通の大師匠、古今亭志ん生師匠の演ってた型とは考え難いんですがねぇ、何かしらの関連はありましょうな。

お仲入りで御座ィます。

古今亭菊之丞◆替り目

本編:
酔いどれの亭主、女房とおでんダネの短縮系で揉めております。
「じゃァあたし『じ』」
「『ぢ』? 『ぢ』ってぇのは何だよ」
「『すじ』」
「馬鹿、長ぇのを詰めろてんだよ、短ッかいのは其の儘でいんだよ!」

柳家花緑◆出来心

「僕が十二歳の時に教わった泥棒噺で御座居ます」
「道徳的教訓は何ンにも御座居ません」

追い出しが鳴りましてお開きでござんす。
新宿三丁目が近ぇてんで、徒歩にて移動しますな。
海底に暮らす軟体生物二種の内臓を引き摺りだして混ぜ合わせた塩辛の名を冠する葡萄酒に特化した欧風居酒屋に向かいまして、一盞傾けるは西班牙産の代物でござんす。
渋味重みとすぱいしぃさが相成りまして、夜は更けてゆくので御座ィます。

(了)

投稿者 yoshimori : May 17, 2011 11:59 PM
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