えェ、お足許のお悪い中の落語会でござんす。
『第十八回 市馬・菊之丞二人会』
@西池袋一丁目・池袋演芸場
柳亭市也◆転失氣
本編:
和尚、花屋に「てんしき」を借りに行かせた小僧より「今朝御御御付けの具にして食べた」との言を聞きまして、
「あれは今ァ旬だからなァ」
と返します。
古今亭菊之丞◆浮世床
「先日、NHKの収録がありましてね」
「『キャンパス寄席』という番組でして」
「目白大学という学校でした」
「目白大学と云っても目白にあるわけではないんです、埼玉県岩槻市にあるんですよ」
「最寄の駅から車で十五分という場所でして」
「司会はサンドウィッチマンという漫才師の方でした」
「こちらの学校の卒業生というのが、作家の江國香織さん、タレントの酒井和歌子、後は猫ひろしさんですね」
「・・・半分ぐらいのお客さんからしか反応がありませんね」
「で、このキャンパス寄席にも出てるんですが」
「共演者がザ・たっちという・・・皆さんご存知ですかね」
「双子で、こう小太りの、『幽体離脱~』というネタの人達でしてね」
「しかもこれ、ラジオ番組なんですよ」
「まず映像で双子である事が伝わらない上に、双子ですから声まで同んなじでして」
「ラジオだけ聴くと、一人で喋ってるみたいにしか聞こえないんですよ」
「彼らは演り難そうでしたよー」
「樂屋でこんなんなって項垂(うなだ)れてました」
「猫ひろしさんは楽屋入りする時はびしっと縞のスーツを着てらっしゃるんですが」
「出番が近付きますと、・・・よれよれのTシャツと短パンに着替えるんです」
「・・・普通、逆ですよね」
「この間、床屋で髭なんぞ当たって貰ってますてぇと、聞こえて来たのがラジオの番組でして」
「FMえどがわという局の放送でしてね」
「レポーターの方が『今日はですね、江戸川区は篠崎にあるスタンディングバーに来ています』とか云ってるんですよ」
「はァん篠崎ィ? あんな所にスタンディングバーがあんのかよなんて思って聴いてましたら」
「・・・あ、この中に篠崎の方、いらっしゃいませんよね? ・・・居ませんね」
「そしたら放送中にですよ、そこの店の大将がですね」
「『スタンディングバースタンディングバーって五月蝿(うるせ)ぇなッ、うちは立ち呑み屋ってんだッ!』って怒鳴ってました」
本編:
町内の若い衆の馬鹿ッ話、
「『太閤記』は姉川合戦、真柄十郎左衛門の件における横板に鳥黐(とりもち)な抜き読み」、
「芝居小屋と茶屋での夢」
は演ってましたが、此れに続きます、
「煙管の雁首と吸い口を取り替えられた上に将棋盤の側面に鬢付けを塗られてしまい手駒が飛ぶの飛ばないと騒いで喧嘩」
の件は端折ってらっさいました。
柳亭市馬◆船徳
本編:
船宿船頭の若い衆の四つのしくじり、
「新造の艫先を欠く」、「坊主(軍鶏)にて店の半纏着で大喧嘩」は演ってましたが、此れに続く、
「隣家の取った店屋物の天麩羅蕎麦と代金をこっそり頂戴する」、「油屋の猫を捌いて喰う」
は端折ってらっさいましたな。
お仲入りで御座ィます。
出囃子『吾妻八景』が三味の音と鳴りまして幕が開きます。
柳亭市馬◆狸の賽
本編:
仔狸が小僧らにとっ捕まってる描写は割愛しまして、既に助けられた後に恩返しとして八五郎宅を訪れます。
古今亭菊之丞◆大山詣り
「山岳部でした、・・・自称ですが」
「・・・ほんとはハイキング部なんですがね」
「大山は千二百米(メートル)級の山でして、意外と本格的なんです」
「江戸ッ子にとっての御山と云いますてぇと富士山ではありません」
「目指すは相模ノ国、今の神奈川県、大山は阿夫利神社で御座居ます」
「往きは赤坂から道玄坂を抜けて東海道を行きまして」
「帰りは藤沢を廻ったなんてぇ聞きます」
「・・・今の表現で云いますと」
「行きは246、帰りは1国で」
サゲ:
「御山は無事で御怪我無くって御目出度い」
追い出しが鳴りまして、お開きでござんす。
噺の尺を幾つか端折った感はありましたがねぇ、意外にもみっちり二時間半の長講でした。
中國東北部は山東省の辛ぇ品を求めて移動しますな。
(了)
投稿者 yoshimori : May 30, 2011 11:59 PM