<黒龍ノ溜息>
気付けば資産家という立場にある。
各地に在る所有物件の倉庫に眠る血に塗(まみ)れた戦利品の在庫数が嵩み過ぎてしまい、資産管理さえも儘為らない状態にあるにも関わらず、種種の制約に拠って管理すべき人材を雇えない為、自ら出向いての孤独な棚卸し作業である。
数日を費やして膨大な量の個人資産を業者に放出し、身軽なブルジョアとして各地を気儘に放浪する予定が、売却に手間取っており遅遅として進まない。
何故か、理由は分かっている。
・・・使い切れない程の資産を貯えていながら、未だ商人との買取価格交渉を1パーセント刻みで愚図愚図と粘っているるからだッ!
(續く)
※
(改題)『幻想ト猊下』 (第弐拾弐回~第参拾参回) #022-033
(改題)『終ノ棲家』 (第玖回~第弐拾壱回) #009-021
(改題)『継ぎ目無きヘリウムの都』 (第壱回~第捌回) #001-008