本日ァ湯島での落語会でござんす。
落つる青梅を眺めながら、湯島天神は女坂より緩そで緩くない石段を上りますてぇと本殿脇にあります参集殿を目指しまさァね。
『ぎやまん寄席番外編 菊之丞・白酒ふたり会』
@湯島三丁目・湯島天神参集殿一階
整理券番号百十番台が呼ばれましての会場入りで御座ィます。
主催者であります江戸賀あい子改メ野乃川あいこねえさんのご挨拶からの幕開きでござんす。
柳亭市也◆一目上がり
サゲ:
「芭蕉の句だ」
古今亭菊之丞◆町内の若い衆
「先日、立川談志師匠の弟さんと食事をご一緒させていただく機会がありまして」
「此の方は立川企画の社長さんでございますね」
「・・・立川流といえば、志の輔師匠のところのお弟子さんが大変な事になってますね」
「・・・覗き目的で建物侵入という」
「噺家なんだからしょうがないという事もありますが」
「まァそれでも女性の藝人の方は寛容ですね」
「此の間、新幹線で此方側に三味線の(柳家)小菊ねえさん、此方に(柳亭)燕路師匠のお弟子さんのこみちが座ってまして」
「小菊ねえさんに伺いましたら、『まァ男だからしょうがないんじゃない?』」
「こみちに聞きましたら、『あたしのよければ幾らでも見せてやるんですけどねぇ』」
「とまァ大変に寛容で御座いました」
桃月庵白酒◆幾代餅
「今、上野(鈴本演芸場)の昼席に出ておりまして」
「一緒に(橘家)圓太郎あにさんと外を歩いてたんですよ」
「で、圓太郎あにさんが店頭のシャチハタの印鑑を見ながら『おッ、珍しい、俺のあったよ』って云うんです」
「圓太郎あにさんの本名(鵜野)も珍しいんですが、あたしもなかなか無い名字なんですね」
「あたしの本名は『愛甲』と云いまして、愛するの『愛』に、甲乙丙の『甲』なんです」
「圓太郎あにさんから『お前ぇは何てんだっけ』と聞かれまして『愛甲です』って答えましたら」
「後ろに居た前座の(春風亭)ぽっぽと(林家)扇が笑ったのが見えたんですね」
「何だろうと思いまして『何、可笑しいの?』って聞いても、『いえ』って顔を背けるだけなんですよ」
「そしたら、圓太郎あにさんが云ってくれましたね」
「『其の顔で愛甲かよ』」
本編:
清造の恋煩いを受けて笑いが止まらない搗米屋六衛門夫婦は其の話題自体を「爆弾」と称します。
お仲入りで御座ィます。
桃月庵白酒◆新版三十石
本編:
浪曲師・小沼猫造先生の『清水次郎長伝「森の石松~三十石船」』が唸ります。
古今亭菊之丞◆駱駝
トリの菊之丞師匠、まさかの「らくだ」で御座ィました。
僭越ながら申し上げますが、師匠の「にん」に合ってないという先入観も御座ィまして、前半部は微妙な雰囲気で拝聴しておりましたが、後半部における屑屋久六の豹変に心底怯えるらくだの兄貴分の動揺がよっく伝わりまして、大変興味深い一席で御座ィました。
まァ今時の演出には珍しい「湯灌の際に剃刀を用いず毛髪を毟り取る」なんてぇ凄惨な場面では客席より短い悲鳴も聞こえて参りまして、願人坊主は程好い加減の火ン中に放り込まれる運びとなりまさァね。
追い出しが鳴りましてお開きでござんす。
「包む」なんてぇ名の付いた朝鮮半島郷土料理を戴きまして、湯島の夜は更けゆくので御座ィます。
(了)
投稿者 yoshimori : June 7, 2011 11:59 PM