June 13, 2011

『偽善と呼ばれる為に求められる十三の条件』(第39回)

<無蓋ノ貨車>
此の業界に長く居る先人の発言を聞き、はたと膝を打つ事もある。

「ひさしぶりに人に会うとほっとします、だって楽ですから(殺すのが)」

むう、思わず漏れる唸りを禁じ得ない。
()内は筆者注であるが、至言とも云えよう。
確かに野生動物の強さったら果てしない。
絵的には動物園内をのそのそと這い回るだけの名の知れた畜生どもではあるのだが、機敏な動作、驚異的な強靭さと致命傷を負わせる破壊力を兼ね備えた畏怖すべき存在なのである。
故に、遠くに奴等の姿を認めると、脇道に逸れての遠回りも辞さない。
複数の個体に囲まれると命が危ういのを知っているからだ。
その点、へっ(鼻笑い)、人間は楽ちんである。
日常的に集団行動をしている癖に結束が緩いが為に仲間割れ度合いも激しく、乱戦時に自分だけがそっと戦線を離脱しても、日頃の鬱憤かただ単に熱くなっているのか、友達同士で殴り合っている始末。
特等の観覧席を捜し、茫洋(ぼんやり)と立つ一人の後頭部目掛けてぽかりとやってからすっと着座。
後は勝手にがちゃがちゃやって全滅してくれるので、前述の至言に結び付くのである。
それに、これ(掌を上にして親指と人差し指の先を合わせる)も持ってるしね。

(續く)

投稿者 yoshimori : June 13, 2011 11:59 PM
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