June 21, 2011

『偽善と呼ばれる為に求められる二十一の条件』(第41回)

<闇ニ紛レテ生キル>
西方都市に見下ろす山間(やまあい)を目指している。
険しい山間部の急斜面に対して疾駆と跳躍を繰り返しながら非現実感溢るる超人的動作で登坂してゆく。
轟轟と唸る程の水量が落ちる響きが伝わり、程なくしての存在を目にした。
落下し続ける一筋の水流の裏、石壁には木枠が収まっており、らしき人工物が見える。
・・・中に居るのは悪人に違いない(たぶん)。
不確かな自信に背中を押され、忍び足にて侵入を試みる。
内部は廃坑そのものだが、入口からの通路は存在せず、ただ広くもない一室が漠然とあるのみで、簡易的に据え付けられた敷布団、薄汚れた枕と毛布張り番の寝床となっている様子である。
枕元の椅子に腰掛けていたのは辮髪姿の中年男性、肌の色は眼にも鮮やかな緑色である。
姿こそ見付かってはいないが、緑肌の男は人の気配を察した模様。
立ち上がって辺りを見回している。
「誰だッ!」
(無言)
「・・・忌忌しい鼠め、ちょろちょろしやがって」
・・・っておっさん、小咄じゃないんだから。

鼠は元より小咄通りに「杭」の振りして、くいくい啼いてみても見逃して貰えそうにないので、先制攻撃を仕掛けてみる。
最近では過剰防衛の反撃手段として手製の毒を多用するのだが、の回った敵の顔色が毒毒しく変わる様が気のと云えば気のである。
毒死した敵の亡骸を剥ぎ取ってみると、身元は当初からの予定通りに職業欄「山賊」悪人である。
ならば遠慮も要るまい。
室内を散策すると落とし戸を発見したので奥へと進む。
遠目で敵の姿を確認すると、二人以上で何組かが世間話をしている様子。
ガチでは負ける気は毛頭しないのだが、複数男女とのプレイは経験が少ないので、此処はひとつ同士討ちをして戴こうとその様に仕込んでみる。(手順は割愛
計略図に当たり、乱戦混戦の運びとなり、生き残ったバトルロワイヤルの勝者一名を離れた暗闇から毒攻撃
気付けば、坑内に於いて生命反応があるのは自分だけという結果に。
此の手で葬った輩の私物を大業物から小銭一枚に至るまで回収し、業者に横流すのが最近の主な仕事なのである。(どっちが山賊だ)

(續く)

投稿者 yoshimori : June 21, 2011 11:59 PM
コメント

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Posted by: bilete avion : November 1, 2011 04:18 PM
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