本日ァ久方振りになります寄席でござんす。
炎天下の中、銀座線は田原町で降りまして、向かうは浅草六区で御座ィます。
『浅草演芸ホール平成二十三年七月上席昼の部』
@浅草一丁目・浅草演芸ホール
三遊亭多ぼう◆(演目不明)
あたしが木戸銭を渡して入った時にゃァ多ぼうねえさんは既に高座を下りておりまして、後に上がったさん吉師匠が仰ってた内容が「芸名が多ぼうで本名が日麻(ひま)」「お父っつぁんが著名な書道家」でした。
三遊亭しあわせ◆子褒め
歌之介師匠門下の前座だそうで。
あたしはこの前座のあにさんからの入場にて昼の部が始まります。
柳家さん吉◆
根多ではなく、四方山噺でしたんで箇条書きで。
「かっぱ橋、軍鶏家」
「五月二十二日、スカイツリー完成」
「みのもんたは毎年鎌倉から鳩サブレを送って来る」
金原亭馬治◆真田小僧
持ち時間の短い寄席ですから、本来のサゲである「うちの真田も薩摩へ落ちた」までは演りませんで。
ホンキートンク◆漫才
尾崎豊"I LOVE YOU"がサビに至りまして、欧陽菲菲"LOVE IS OVER"になります。
「私はあんたをー忘れはしーないー」
チェッカーズ『ギザギザハートの子守唄』が北斗の拳、水戸黄門のオープニングテーマのメロディになります。
三遊亭萬窓◆箍屋
サゲ:
「あがったあがったあがった、たーがやー」
古今亭志ん馬◆
「粗忽は遺伝します」
「祖父はシャンプーとサンポールを間違えて頭に振り掛けてしまい、『熱い!』と叫ぶ」
「姐は玉子の白身を髪のキューティクルに効くと試すが、洗い流す際に熱湯を注いでしまい、頭が玉子とじに」
家族がそそっかしいというマクラのみで高座を下ります。
マギー隆司◆マジック
マギー司郎の一番弟子だそうで。
三遊亭歌る多◆松山鏡
「今、落語協会には十三人の女噺家が所属しております」
「二、三人を除くほとんどが大学を出ておりまして、その中のほとんどはそのまま社会人になったりしてますね」
「そこでなーんかあったんでしょうか、その会社を辞めまして噺家になるという」
「・・・親御さんが血の滲む様な思いをして大学まで遣ってですよ」
「まァ贔屓にしてやってください、若い子らはお菓子一袋で喜びますから」
「その点、あたしは他の1ダースとは一緒になりませんが」
「菓子袋にコーラを一本でも付けていただければ・・・」
「四十を越えてから着物だけの生活になりましたが、前までは洋服を着ていました」
「お店で試着しまして、何でこんなにあたしはこの洋服が似合うんだろうと思い、気に入って買って帰りますとね」
「家でまた着てみますと、この買った洋服が全然似合わないんですね」
「後で伺いましたら、全ての店がそうとは限りませんが、ああいうお店では鏡に写る自分の姿が三分の二痩せて見えるそうで」
「これを企業努力と呼ぶ詐欺と呼ぶか、ですねぇ」
川柳川柳◆ガーコン
川柳師匠、今年で八十歳だそうで。
その発声、傘寿とは思えねぇですな。
大空遊平・かほり◆漫才
「小学校の謝恩会に夫婦漫才を呼ぶというのもどうかと思いますが」
「あんたなんか居ても居なくて同じなんだから、お客さんは『遊平』が名字で『かほり』が名前と思ってるわよ」
桃月庵白酒◆壷算
交通事故の小咄がありまして、内容をざっくり述べますてぇと、一家三人と猿一匹が乗った車が事故を起こしまして、警官がおっとり刀で駆け付けますてぇと事情徴収すべき家族らは救急車で病院で搬送された後で御座ィます。
「猿だけ居てもしょうがないな」という呟きを聞いたエテ公は人語こそ話せないが解する旨を手振りで警官に伝えます。
猿の身振り手振りにて「父親は車内で飲酒」「母は喋りに夢中で前を向いていない」「子供はいずれかの親にじゃれ付いていた」と分かりまして、当の猿に「お前は何をしていた」と訪ねますと、猿ははんどるを握る動作をします。
三遊亭圓窓◆町内の若い衆
「自宅で稽古してますとうちのカミさんが『ごはんだよ』と云うので返事しますと」
「『あんたじゃない、猫に云ったんだ』と云うんです」
「酷い話じゃァありませんか」
「カミさんが飯くれないんで、腹ァ空かせたあたしが台所で缶詰を見つけて開けようとしますと」
「それを見つけたカミさんが『それは猫の缶詰なんだから、駄目よ』って云うんです」
「何だい、うちじゃァ猫の肉を喰わしてたのか、と思いましたよ、そう思いません?」
「思わない? だって、缶詰のラベルに猫の絵が描いてあるんですよ、あれは内容物を表してるんじゃないですか」
「そしたらあれですよ、カミさんが云うには、猫が好きな魚やら何やら入った缶詰を『猫の缶詰』ってんですね」
「あたしゃァそうじゃないと思うんですがねぇ」
「・・・じゃァあれですか、お客さん、『蟹の缶詰』てぇのは中に蟹の好きな小魚とか入ってたりしますか? 違うでしょ? 蟹の肉、蟹そのものが入ってるでしょ」
「ほーら、見なさい」
三増紋之助◆曲独楽
「北野武さん監督作品の『座頭市』に独楽回し芸人役で出ています」
「『ええぃ、芸人はもうよい、芸者を呼べぃ』と云う一言で画面から消えますが」
鈴々舎馬風◆
五代目古今亭志ん生、五代目柳家小さん、先代林家三平との思い出話でした。
この方、会長職を退いたんですから、も一度『会長への道』演らねぇんですかねぇ。
お仲入りで御座ィます。
金原亭馬吉◆笊屋
二ツ目の馬吉あにさんが仲入り後に上がるとはめづらしいですな。
ロケット団◆漫才
山形弁での無理繰りな横文字変換でした。
「石油入れて」
「歩げにぃ」
古今亭菊春(きくはる)◆権助魚
笑いは身体によろしいてんで、脳内物質を一種しか云い立てできずに「ドーパミン」を連呼しておりました。
林家正雀◆紙屑屋
本編:
「白紙は白紙、烏は烏、陳皮は陳皮」
翁家和楽社中◆太神楽
中座しまして休憩させていただきます。
金原亭馬生◆安兵衛狐
本編:
「恋しくば 訪ね来てみよ 谷中なる 三叉木村の うらみ葛の葉」
歌詠みにて正体が表れる狐のおこん、玉蜀黍が大変お好きだそうで。こーん
馬生・正雀・菊春・馬治・馬吉◆茶番 『曾我物語~大磯廓通い』
菊春◇曾我十郎祐成(すけなり)・・・ 何故か格好は「助六 実ハ曾我五郎」
馬生◇金貸し金兵衛
馬吉◇手下 ・・・「市川猿之助(えんのすけ)に弟子入りしまして市川猿之下」
馬治◇手下 ・・・「中村芝翫(しかん)に弟子入りしまして中村痴漢」
正雀◇義太夫 ・・・「竹本越路大夫に弟子入りしまして竹本腰巻太夫」
活惚の総踊りでお開きとなりました。
本日ァ観音様の四万六千日と鬼灯(ほおずき)市てんで、金龍山浅草寺に立ち寄りまして参詣致します。
この日いちんちお参りするだけで四万六千日分の徳になるてんですから、便利な世の中になったもんでげす。
日参に換算しますてぇと、百二十六年分てんですから豪儀なもんですなァ。
あたしゃァ都合二回目で御座ィまして、この歳にして既に二百五十年分日参済みでさァね。
あれからァ湯島に移りまして、目当ての鰻屋へと参ります。
暖簾下がる玄関前に立ちますと、後ろに続く客の姿ァ認めまして、まァ順繰りだと思いまして先んじましたら、後続の方が店の方に「鰻はここで終わりました」と門前払いでした。
帰された方にゃァ申し訳ねぇですが、お二階は水槽付きのコの字型かうんたあに通されまして、五代目柳家小さん師匠が厨房に預けてたなんてぇ丼鉢ィ眺めながら、摩り下ろした山葵と下地で白焼きを突きながら杯一飲りやしょうかねぇ。
(了)
投稿者 yoshimori : July 9, 2011 11:59 PM