連日連夜で御座ィますが、本日ァ銀座での若手落語会でござんす。
銀座と云いましても八丁目ですから、新橋駅に程近いんですな。
・・・繋ぎの心積りが、軽くのキチゲェ水から冷酒に迄手ェ付けましてのぐだぐだな会場入りで御座ィます。
『我らの時代 落語アルデンテⅢ』
@銀座八丁目・銀座博品館劇場
本公演は元来三月十四日の予定でしたが、例の震災の為に中止となっておりまして、時期を置きましての開催で御座ィます。
林家はな平◆子褒め
「めくりにもあります通り、春風亭ぼっぽと申します」
春風亭一之輔◆蛇含草
「銀座ですよ」
「まァ銀座が似合わない四人ですね」
「どちらかと云うと、砂町銀座の方です」
「何かを志して集まった四人ではありません」
「大人の事情で集められただけですから」
「私以外、暗ァい影のある三人です」
「なでしこジャパンですよ、(昨日の高座と内容が被るので一部割愛)」
「まァでも、女子サッカーの方は親近感がありますね」
「フィギュアの方や女子バレーの方は銀座に連れて行かなくちゃいけないかなと思いますけど」
「女子サッカーの方はもう砂町銀座ですよ」
「『笑笑(わらわら)集合!』みたいな」
「この会、第三回目になります」
「前回は、なかのZERO(中野)でした」
「次は何処であるのかなと聴きましたら、イイノホール(霞ヶ関)ですって」
「・・・何処を目指してんでしょうね」
三遊亭兼好◆風呂敷
「矢張り云わなければなりませんね、なでしこジャパン」
「私は丁度その時に仕事がありまして、朝早く駅を目指してタクシーに乗ってたんですよ」
「タクシー運転手さんもテレビ中継に夢中でして」
「試合よりも前を見ろと思ったんですけど」
「PKが始まった頃に駅に着いてしまいまして、『運転手さん、これ最後まで見ててもいいですか』って伺ったんですよ」
「『どうぞどうぞ』てんで、一緒に観戦しましたね」
「で、最後のPKが決まった時には、もう知らないおっさんの筈の運転手さんと手を叩き合ったり抱き合ったりして、それはもう盛り上がりましてお互い喜び合いました」
「よかったねーよかったですねーなんて云いながら、もうこのまま料金払わなくてもいいんじゃないかなーとドアから出ようとしますと」
「『二千二百円』って手を出されました」
「それでもそんな彼女達に恨みがあるんですよ」
「国から助成金が出ましてですね、日本の文化を海外に伝えて来いてんで、ドイツまで行かせて戴いたんですね」
「助成金たってまァあれですから、ねぇ、行きと帰りとホテルが付いてまァ赤字黒字ぎりぎりみたいな仕事だった訳ですよ」
「それじゃァあんまりだてんで、主催者側の方が気を利かせてくれまして、デュッセルドルフというところでドイツに滞在する邦人向けの落語会を開いて戴きました」
「そしたら運悪くですね、落語会と女子サッカーの試合が同じ日だったんですよ」
「・・・日本人、誰も来ない」
「今の政治家はだらしないですね」
「松本(龍・前復興相)さんですか?」
(割愛)
「鳩山(由紀夫)さんは危ないですね」
「東北地方の地図で福島と思って指差したら秋田ですから」
「安倍(晋三)さんも分かってないでしょうね」
「四国四県、云えませんよ」
「それでも麻生(太郎)さんは、何県が何処にあるのぐらいは分かってるんですよ」
「でも、岐阜って漢字は絶対書けないですね」
「『岐』も『阜』も普段使わない漢字ですからねぇ」
「特に『阜』なんて何処で使うんでしょうね」
「菅(直人)さんは、もう沖縄の場所さえ分からないですよ」
「福井辺りにあると未だに思ってますね」
「菅さんは福島の場所が分からないんですよ」
「で、お付きの人からこっそり『ここですよ』って教えて貰ったりして」
「『あー、ここね、こないだ原発の事故があったところだ』」
「(苦い顔で)『だからー』」
本編:
「だから、君子(きみこ)危うきに近寄らずって云うだろ」
サゲ:
「兄ィそれじゃァ駄目だよ、風呂敷被って俺みたいに大人しくしてる訳がねぇ、それは上手くいかない」
お仲入りで御座ィます。
桃月庵白酒◆鰻の幇間(たいこ)
「こう暑いと体調も悪くなりますね」
「今日は新宿(末廣亭)と池袋(演芸場)に上がったんですが、ここ銀座に来ましても未だに二日酔いが抜けません」
「今、池袋で(柳家)小満ん師匠と楽屋が一緒でして」
「やはりああいう密度の寄席ですから、お子さんが居るとどうしても下な噺は避けてしまうんですが」
「小満ん師匠に相談しましたら、『そういう時こそ演るんだよ』と云われまして」
「で、『短命』を掛けましたら、続く小満ん師匠はもうそれは艶っぽい『夢の酒』を演ってらっしゃいました」
「で、トリが・・・(川柳)川柳師匠なんですよ」
「もう何ですか、小満ん師匠と私とでせっかく掃き清めた庭に、げろ吐かれるみたいな」
「いつもの『ガーコン』ですよ」
春風亭百栄◆ドラ吉左衛門尉勝家(根多帳:ドラ吉左衛門之丞勝家)
「・・・えー」
「・・・ノープランで来た勇気だけを買って戴きたいんです」
本編:
下手にある勉強机の引き出しから現れる人物を全編大山のぶ代声で通すという荒業も然る事ながら、自らの前座名である「のり太」がそのまま過ぎる設定にて自虐な展開で新作落語創作の手助けにと未来の道具に頼らせ、しかも他登場人物が三谷幸喜と三遊亭円丈という、定点観測が終わらない終わらせてくれない運びとなりました。(何だそりゃ)
追い出しが鳴りまして、お開きでござんす。
琉球な店ぇ訪れまして泡盛を戴きながら銀座の宵は更けてゆくので御座ィます。
(了)
<覚ヱ書キ>
海ぶどう
ゴーヤイリチー
瑞泉青龍
直火請福