時折犬を想像する。
犬種は問わないが、必ず和犬ではない類である。
映像よりも静止画に等しい犬は吠えないし、身動きもしない。
想像力の欠如からか、凝視するも毛色も立つ姿勢も酷く曖昧である。
私は低い椅子に座っている。
目前に在る低く垂れた頭部を撫でたりもしない。
特に意識して食事らしき物体も与えないが、忘れた頃に動く尾は何らかの生命活動の一環であろう。
当然、飼主と飼犬の関係性は皆無である。
犬側で長く下がった舌も出す気遣いさえない。
憎まれているとも愛されているとも互いに思っていない。
空気よりも水に近い存在と思える時もある。
しかし、私は造形的には猫が優ると信じている。
猫を想像すらしないのは、憧憬が存在しないに過ぎない。
前者よりも空気に近しい。
両者に共通して云える事は、どちらも好んで食べようとは思わないというただ一点に集約されるのだ。
(了)
投稿者 yoshimori : July 22, 2011 11:59 PM