迷彩服で近所を徘徊する老婆が居る街に来ている。
具合の悪さ自慢で盛り上がれる仲間さえ在れば、さぞかし心強かろう。
塗り重ねた配色には、意味も加味も酸味さえも無いと知っているだけに辛い立ち位置でもある。
攻勢に転じた頃から全体図が見えなくなっているのが過信の結果だとしても、何処か得がたい信実が在るのも馴れ初めに相違ない。
転がされた衣は飽くまでも脆く、不遜な小船に漕ぎ手は要らずとも血中には残された僅かの共振が在るばかりである。
許されるのならば、ただ一度の往路だけでも流されるままに甲州街道を北へ北へと越えてみたいものだ。
(了)
投稿者 yoshimori : July 23, 2011 11:59 PM