本日ァ区立図書館主催の落語会でござんす。
伺いましたら、何でも本日の十二時を以ってあなろぐ放送が終わりだそうで。
あたしゃァてれび電波にゃァ縁遠く暮らしておりまして、感慨も無けりゃァ何の用もござんせんなァ。
それでも何処か不安な気になるてぇのは、頼りねぇ話でござんすが。
九段下より東西線に乗り換えまして葛西駅を目指すんですがねぇ、普段から乗り慣れてねぇ路線てんで、しかもあたしの乗りました電車てぇのは急行だったようで、葛西には停まらずにあまつさえ浦安を通り過ぎたのも気付かず、更に東の西船橋まで連れてゆかれまして、すわ一大事と各駅で引き返しまして葛西より路線ばすに乗り継ぎ、ようやっとの到着と相成ります。
『納涼東葛西寄席 桂扇生 落語の会』
@東葛西八丁目・東葛西図書館コミュニティ会館三階
図書館長さんのご挨拶から始まりまして、節電的薄暗さと暑さの中で開会致します。
お子達は夏休みとみえまして、ご家族の方に連れ立って参加しているのが見受けられる様で、扇生師匠の根多選びも自然とそれらしくなって参ります。
桂扇生◆桃太郎
「嬉しいですね、こういう会に呼んで頂けるのは」
「こういう手製の団扇まで用意して頂きまして」
「今日の日付け、私の名と演目まで入ってます」
「限定七十個だそうで、皆さん大事に仕舞っといてください、あ、扇いだりなんかしちゃァいけませんよ」
「・・・これは市販の団扇の紙を全部剥がして、印刷した紙を貼り付けて、こう周りをじょきじょきと鋏で切ったんですな、価値のある一品です」
「・・・先日伺いました葛西図書館では作ってくれませんでしたね」
桂扇生◆箍屋(たがや)
「さっきまで其処に座ってた男の子は? 帰った? え? 最初から誰も居なかった?」
「・・・まァそういう事もありますね」
追い出しこそ鳴りませんが、お時間となりましてお開きで御座ィます。
これより日本橋にある寧波料理の店を目指しまして、あれから代々木での独逸麦酒祭りに参加しまして、四谷へと流れ飲んだくれるんですねぇが、まァそれはまた別のお話で御座ィます。
(了)
<覚ヱ書キ>
冷菜三種
蒸点心三種
揚点心二種
粽
雲呑麺
啤酒