本日ァ大圓朝こと三遊亭圓朝師匠の命日に因んだ年に一度のお祭りでござんす。
幾らか早起きしまして九時に千駄木駅に着きますてぇと、既にさんさき坂は長蛇の列となっておりまして、炎天の下、何のこねくしょんもありませんので最後尾に並ばざるを得ません。
駅前では古今亭志ん橋師匠が、人待ちをしておりました。
(後で知るのですが、待ち合わせた方は外国人の撮影くるーでして、本堂での様子をびでおかめらに収めておりました)
揃いの浴衣を着た柳家権太楼、喬太郎両師匠が「お待たせ致しました、間もなく開場です」と伸び続ける最後尾までご挨拶に参ります。
『落語協会 圓朝まつり2011』
@谷中五丁目・普門山全生庵
九時半、開場。
目指すは本堂での法要と落語協会副会長、柳亭市馬師匠の奉納落語で御座ィます。
並んだ甲斐もありましてか、無事に本堂へ潜摺り込めまして、緋毛氈の上に正座での着座と相成ります。
司会進行役は三遊亭歌る多師匠、眼鏡着用で緊張感も漂いまして、目前には上手から敬称略で柳亭市馬、桂歌丸、存じ上げない方、三遊亭金馬、存じ上げない方、入船亭扇遊、林家正蔵というお歴歴のご列席で御座ィます。
住職らによる法要の際、古今亭志ん五師匠の名が聞こえまして当初は頸を傾げるだけだったんですがねぇ、後で知るてぇと師匠は前年の九月に亡くなったそうでして、師匠の演るいささか過剰な与太郎噺が聴けねぇかと思うと残念でなりません。
柳亭市馬◆蝦蟇の油
この後、本堂前にて扇子のお焚き上げに続いて、市馬師匠による開会宣言となります。
開会早早は長蛇でした「福扇」の販売の列は短くなっており、早速買い求めさせて戴きます。
(福引の商品は四等、寄席招待券一軒止まりでしたが)
十一時半より坐禅堂にて行われる「奉納落語第一部」は抽選より洩れてしまいましたてんで、暫しの中抜けとしまして、さんさき坂を下りまして蕎麦屋ァ目指しますな。
涼しい店内にて縄ァ手繰りながらキチゲェ水を程好く戴きまして時間を繋ぎまさァね。
十三時五分、本堂前にて藝人によるぱふぉーまんすが行われます。
「柳亭こみち・柳亭市馬歌謡ショー」
柳亭こみち◆帰ってこいよ(松村和子)
こみちねえさん、ぴんくの浴衣に赤い花を髪に付けての開き直った演出で御座ィます。
柳亭市馬◆チャンチキおけさ(三波春夫)
柳亭市馬◆無法松の一生(村田英雄)
市馬師匠、ぺーるぐりーんの着物に鶴らしき目出度ぇ刺繍ががっつり入っております。
「誂えました」
十五時十五分から坐禅堂にて「奉納落語第二部」の開演なんですがねぇ、これも惜しくも抽選より外れまして、やさぐれきぶんで中抜けと相成ります。
二度目の蕎麦屋は谷中銀座で御座ィます。
程好くキチゲェ水を戴きまして、二度目の出戻りでさァね。
二、三合を飲ってますてぇと、一転俄かに掻き曇りまして烈しい雷雨となります。
遣らずの雨以上のげりら豪雨を暫し止み待ちしましてから移動しますな。
道中、いかつい色眼鏡(さんぐらす)を着用した金原亭馬生師匠とすれ違いました。
お供は両名女性でして、まァ何ざんしょう、絵的には愉しげな感じでしたなァ。
十六時二十分、「黒門亭落語クイズ王チャンピオン大会」の決勝戦で御座ィます。
あたしゃァ参加してませんが、聴いておりますてぇと難易度が高ぇというか、個人的過ぎて知らねぇよって感じの参加者にとっちゃァ運頼みな問題ばかりでした。
雨粒が落ちて来まして、いべんと進行も心配になりますところで、司会の方が商品であります温泉宿泊券の一位二位の争奪をじゃんけんにしまして、「群馬か長野か、選んでください、もう時間がないんです」なんてぇざっくりな決勝戦でした。
続きまして古今亭菊之丞師匠による歌唱で御座ィます。
古今亭菊之丞◆加賀の女(北島三郎)
「金沢の」という歌詞で脇に控えた藝人らが中央に寄る仕草が愉しい演目でござんす。
十六時三十五分、「グランドフィナーレ住吉踊り」が本堂前の石段で行われます。
「活惚(かっぽれ)」、「奴さん」等の寄席でも定番な踊りが始まり、せんたーは矢張り身の丈豊かな三遊亭小円歌ねえさんでござんす。
男藝人の誰よりも手足が長くて動きに無駄がござんせん。
最後のご挨拶では権太楼師匠がそう仰いました。
「十年目を区切りとしまして十回目の今回で圓朝まつりはひとまず終了します」
聴けば、身内と関係者による「圓朝忌」として粛々と続けてゆく予定ではありますが、圓朝まつりの様なふぁん感謝的いべんとは一旦白紙にするとの事でした。
まァ何とも寂しい限りではありますが、致し方も御座ィますまい。
十七時、打ち出しとなりまして、本いべんと終了で御座ィます。
大圓朝師匠、来年は祭りじゃァなくて墓参致しますんでひとつよろしくお願い致します。
さァ三度目のキチゲェ水を求めまして、赤坂辺りに向かいましょうかねぇ。
(了)
投稿者 yoshimori : August 7, 2011 11:59 PM