本日は池袋での特別興行でござんす。
『市馬・菊之丞二人会 第19回』
@西池袋一丁目・池袋演芸場
さすがは現役の協会副会長であります市馬師匠、今日もご満座で御座ィます。
柳亭市助◆子褒め
サゲ:
「どう見ても半分です」
柳亭市馬◆権助芝居
「噺家連中が歌舞伎の真似事をするのを鹿芝居と云いまして」
「当時TBSで放送してたんですが、亡くなった(三遊亭)圓生師匠が出てました」
「うちの師匠、(柳家)小さんにもお声が掛かりまして」
「番組のプロデューサーの方が小さん師匠に話をしたらしいンですが、どうにも良い返事が得られませんで」
「困ったプロデューサーが圓生師匠に相談しましたら」
「『花四天(はなよてん)って云ったのかい?』」 ※華やかな所作事や時代物に出る軍兵や捕り手(所謂、端役えきすとら)
「『はい』」
「『それじゃァ小さんは受けませんよ』」
「『どうしましょうか』」
「『お軽(かる)役って云ってみたら如何(どう)かしらねぇ』」 ※『仮名手本忠臣蔵』に登場する勘平の女房役(看板役者の役どころ)
「なんてんで、プロデューサー取って返して小さんに申し出ますと」
「『お軽ぅ? あたしが? 演るよ、演りますとも』なんて、二つ返事だったそうでして」
「結局、何だかんだ云いましても、うちの師匠も女形を演りたかったみたいですなァ」
古今亭菊之丞◆たちきり
「先日、福岡に行って参りまして」
「あたしはあまりキャバクラとかそういう店には行かないんですが」
「ちょいと乙なママが居て、若い女の子がひとり居るような」
「所謂スナックで一杯飲りたかったンですね」
「これは地元のタクシー運転手さんに聞くのがいちばんよかろうと思いまして」
「『運転手さん、この辺にいい店ありませんかねぇ』って尋ねましたら」
「『あるよー』って連れてって貰いました店が」
「・・・軍歌バーという店でして」
「もう、入った瞬間(川柳)川柳師匠みたいなのが朗々と唄ってるンですよ」
「ママと若い女の子は居るには居たんですが、こう斜めに襷(たすき)掛けした布には」
「『婦人国防隊』って書いてあるんですね」
「あちゃー、と思いまして、ビール一杯で帰ろうとも思いましたが」
「あ、ビールって敵性語だ、何て云えばいいんだろうかと思いまして」
「『何かこういう黄色い泡の出るやつを』って云いましたら」
「『あ、ビール? ビール一丁~』」
「そこは英語でもよかったみたいです」
お仲入りで御座ィます。
・・・迂闊にも仲入り後の根多を帳面に付け忘れまして、記録も記憶もござんせん。
平にご容赦をと願っておきます。
まさか、両師匠方が一席ずつで高座を下りるとは思えませんし、片手落ちでござんした。
追い出しとなりましてお開きで御座ィます。
あたしの親父が上京してるてんで、ちょいと脚ィ伸ばしまして脛でも齧りにゆきやしょうかねぇ。
(了)
<覚ヱ書キ>
朝:狸蕎麦
昼:チヂミとキムチチゲ
夕:海老とブロッコリーのゴルゴンゾーラ・ペンネ、マッシュポテトと牛肉の赤ワイン煮、アンチョビとキャベツの温野菜、"Heineken", "Macallan", "Bowmore"