December 03, 2011

◆『閉ざされた扉』

朝方、ぐらッとしましたなァ。
地震警報はその後でしたが。

本日ァ現役落語協会会長の独演会でござんす。
まァ独演会と申しましても、他にも藝人さんは何名か高座に上がるンですけれども。
あいにくの雨降りで御座ィまして、そぼ降る中をとぼとぼと会場に向かいまさァね。

『前進座劇場プロデュース 寄席<噺を楽しむ>その五十一 柳家小三治 【昼の部】』
@吉祥寺南町三丁目・前進座劇場

柳家緑君◆狸札

「先日、呼ばれまして埼玉に行ったんですが」
「高座を拵えたいただいた場所が、トラックの荷台という」
「売られている野菜みたいな気持ちで務めまして、荷台から降りますと」
「トラックの横には『産業廃棄物』とありました」

古今亭菊六◆浮世床

『海老床』という微妙なサゲの小咄の後で、
「これで来年の真打昇進も取り消しですね」
とのさりげないあぴーるも欠かしません。

柳家三三◆佐々木政談

「先日、大船での落語会に行って参りました」
「共演は、(春風亭)昇太師匠、(林家)たい平師匠、あと先程の緑君くんですね」
「終演後に駅のプラットフォームで電車を待っておりましたら」
「ひとりの五十代ぐらいでしょうか、年配のご婦人の方が私の傍に寄ってらっしゃいまして」
「『あ、先程はどうも、愉しませていただきました』」
「『どうも、ありがとうございます』」
「『で、普段は何をされてらっしゃるんですか』って云われまして」
「ちょっと話が上手いだけのあんちゃんだと思われてたみたいでして」
「そこで『プロの噺家です!』って云うのも大人げないんで」
「『役所で出納係をしております』と答えておきました」

「今日は11時に名古屋から新幹線で帰って来まして、此処へ来たんですが」
「東京駅でエスカレーターに乗ってますと、前からテレビで見た事のある人とすれ違いまして」
「『あ、江原(啓之)さんだ』と思いまして、もう一度よく見ましたら」
「(春風亭)小朝師匠でした」
「だって、シルエットが同んなじなんだもん」

サゲ:
「佐々木四郎高綱であるな、そなたも源氏であるぞ」
「へェ、さっきまで平気な顔をしておりました」

お仲入りで御座ィます。

林家正楽◆紙切り

「馬」、「相合傘」とご挨拶代わりと続きまして、りくえすとより「小三治師匠」、「酉の市」、「サンタクロース」、「蜜柑と炬燵」、「龍」と紙切ります。

柳家小三治◆粗忽長屋

「あたしの会の切符がなかなか手に入らないというお客様から手紙をいただきまして」
「それでも何とか手に入れて幾つかの会場にいらしていただいたんです」
「あたしの根多の中では『一眼国』と『厩火事』という、これは大変に珍しい組み合わせなんですが」
「その方からの手紙には、三箇所の会で同じ演目を聴いたと書いてありました」
「・・・草加、千葉、あと鹿児島までいらしていただいたんですがね」
「『今後はこの様な事がないようにしていただきたい』とありましてねぇ」
「そうは云いましても、こればっかりは」

「先日、何かしらの用でハワイに行っておりまして」
「(立川)談志さんが亡くなったてんで、新聞社や雑誌社の方からあたしの携帯電話にインタビューの依頼があったんですね」
「まァ談志さんとは(柳家)小さん門下で兄弟弟子ですから、そこは断る理由もありませんし」
「で、何時間も受け答えしておりまして、ふと気付いたんですが」
「国内での電話は架けた方が料金を支払うのは当然ですけれども、海外に居る場合は電話を受けた方にも支払いが発生するんです」
「つまり、あたしがハワイで何時間も架かって来た電話に対して応対をしていると」
「あたしへの請求がもう途方もない事になっているわけですよ」
「いったい、幾らになっているのか、今から愉しみですね」
「・・・生きている時もとんでもない奴だったけど、死んで尚あたしにこんな思いをさせて、談志というのはとんでもない奴ですよ」

追い出しとなりまして、お開きで御座ィます。
折角の中央線沿線ですから、中野方面を目指しまして豚の背骨とじゃが芋の鍋でもいただきましょうかねぇ。

(了)

投稿者 yoshimori : December 3, 2011 11:59 PM
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