本日ァ東高円寺での落語会でござんす。
開場時刻前に着きましたてんで、最寄りの店で酒精を入れて気焔を上げてゆきましょう。
『新春落語会 初笑い 落語花形ふたり会』
@杉並区梅里一丁目・セシオン杉並ホール
柳亭市也◆転疾気
サゲ:
「初めからくさい話と思った」
神田蘭◆信長と吉乃(きつの)
講談で御座ィます。
演目は信長公が側室、生駒吉乃との馴れ初めなんですがね、内容はほぼ蘭先生自身の婚活状況と自著である『恋する日本史講談(ぶんか社)』の紹介に終止しました。
尺が足りなかったか、「さのさ時雨」を踊ってお後と交代です。
柳亭市馬◆七段目
「いいですね、女性がいると華やかですね」
「何か楽屋で昇太さん、妙にそわそわしちゃってて」
「今頃、告白してるかも分かりませんな」
相撲話から入りまして、自慢の喉にておりじなるの『杉並甚句』が挟まります。
(喝采)
「まァこんなんでよければ、ずっとこれで行きたいんですがね」
この後、亡くなられた式守伊之助行司が生前に相撲の黒白を間違えた結果の苦し紛れの名じゃっじ、「名寄岩(なよろいわ)~、に勝ったアヤノモリ(?)~」
ここで唐突に角界から梨園へゆきまして、「市川團十郎の睨み」から何故か落語界での「先代林家正蔵の口上」から芝居噺の本編に入ってゆきます。
本編:
不意に流れる三味線の音を耳にした若旦那は「隣の稽古屋の師匠」を指して、「流石はおふゆさん」と発しますが、弾いている下座さんは田中ふゆ社中てんで、万事が行き届いております。
お仲入りで御座ィます。
春風亭昇太◆二番煎じ
「正月に箱根駅伝をテレビで見てたんですよ」
「東洋大に柏原(竜二)くんていましたよね」
「彼、何かに似てるなーと思ってたんですが、やっと分かりました」
「エイの裏側ですね、あれは」
「あれ(駅伝)は身体に悪いと思います」
「まァ日本人は人が弱ってるところ見るの好きですから」
「弱ってるのを見ながら、自分は楽なところでぬくぬくしてるのがいいんですよ」
「だから、駅伝は人気あるんですよ」
「松野明美さんて居ましたね、小さい方でね、早かったですね」
「今は見る影もないありませんが」
「彼女もゴールしたら、よろよろと倒れて毛布に包まれたりなんかするんですよ」
「あのよろよろばったりと毛布に包まれる松野さんを皆さんは待ってるんですよ」
「初詣は明治神宮でした」
「そしたら、中高生がわんさかいるんですよ」
「普段は夜中に家を出してもらえないけど、初詣にかこつけて外出するんですね」
「『友達とお参り行ってくる!』とか云って」
「友達だぁ?」
「それで待ち合わせた中高生カップルが、もういちゃいちゃいちゃいちゃしてるわけですよ」
「奴らのいちゃいちゃスペースは決まっておりまして」
「こう、電車の扉付近に20センチ、70センチ角のスペースがありますでしょ?」
「そこが定位置なんです」
「で、また会話らしい会話をしてないんですよ」
「『あたし家族旅行にいくんだー』」
「『どこいくんだよー』」
「『おしえなーい』」
「『おしえろよー』」
「『おしえなーい』」
昇太師匠、ここで立ち上がりまして、かっぷるを足蹴にする様を座蒲団から離れて演じます。
蹴倒した後の決めのぽーずは左手で右の二の腕を叩いての中指一本立ちでした。
追い出しとなりまして、お開きで御座ィます。
この後、何故か歌舞伎町まで移動しまして赤くて辛い鍋を囲む運びとなりますが、それはまた別の話で御座ィます。
(了)
<覚ヱ書キ>
◇飲茶(点心七品、香港風粥、杏仁豆腐)
◇鮮蝦雲呑麺(香港風海老入り雲呑麺)