May 20, 2012

『流刑地より乗馬で3.5ハロン』 (第16回)

◇前回までのあらすじ。
◇女である。
◇叡智なる存在より「勇者」の称号を得ようと、信頼する仲間の命さえも軽々しくも捧げ、居合わせた複数の狂信的崇拝者さえも殲滅し、強欲にも褒美を得ようとするのであった。

◇「次の試練ね」
◇・・・はぁ。(善人をひとり犠牲にしてしまい、少しながら良心が痛む)
◇「乗り気じゃないな。まあいい、ある男を探すのだ」
◇はい。
◇「その山賊王きどりの男の身包み剥いじゃって」
◇そいつは悪い奴ですか。
◇「まァ山賊だからね」
◇じゃァ行ってきます。
◇向かった先は北西の果て、出入口には誰も居ない無防備な山賊の隠れ家である。
◇幾度かの策敵と処理(サーチ&デストロイ)を繰り返し、山賊王までたどり着く。
◇自称王は暗闇に乗じた黒装束を纏っており、何やら邪気めいたオーラさえ放っている様子。
◇そのゆらゆらしてるのは毒ですか?
◇返答さえないまま、禍々しい武装の王を撃破し、黒い防具を引き剥がしてフィッティングルームさえもどかしくその場で着用してみる。
◇「それだよ」
◇おっと、あんた何処から話し掛けてんのさ。
◇「それはお前にくれてやろう」
◇そりゃどうも。
◇「あまり嬉しくはなさそうだな」
◇まァぶっちゃけ、ひとり捧げてますからね。
◇「お前の選択だぞ」
◇そりゃまァ・・・そうっすね。
◇「あまり尊大なのも賢いとは云えんな。まァ今はしばしそれをくれてやるが、いずれ次の勇者なる者がお前の前に現れ、それを奪いに来るまでのレンタルと思え、さらばだ」
◇なるほど、死によって所有権を失い、代を経て受け継いでゆく闇の遺品ですか、せっかくですからいただいておきましょう。
◇往きは連れが居たけど、帰り道はやっぱりひとりでした。(哀)

(續く)

投稿者 yoshimori : May 20, 2012 11:59 PM
コメント
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?