本日ァ大田区での落語会でござんす。
京浜東北線にて大森駅に出まして、東急バスへと乗り換えての大遠征でさァね。
『大田文化の森落語会 季節寄席(夏) 特別企画 春風亭一之輔 真打披露』
@中央二丁目・太田文化の森ホール
開場前、前売券完売ながら全席自由設定の為か、列成す高齢な客人らは何やら殺伐としておりまして、並び疲れた老婆が主催者側でお手伝いの老婆に詰め寄る瞬間もありましたな。
開演前、席亭のご挨拶がありまして、後で高座に上がります柳朝師匠が「大森」在住であることが分かりました。
春風亭朝呂久◆権助魚
「二番弟子の一之輔あにさんが真打になりまして、真打披露興行にわたしも出たり出なかったりなんですが」
「前回は有楽町にありますよみうりホールでして、その次には大宮ソニックシティーを控えております」
「まァでも銀座有楽町とは云えね、ここ大森に比べりゃァあんな街は田舎もんの集まりですね」
「大森は素晴らしいですよ、大森はわたしの第二の故郷だと思っております」
「・・・次の大宮でも同んなじことを云いますけれども」
春風亭一左◆蕎麦清
「一朝の四番弟子で二ツ目です」
「先日、秦野の落語会に呼ばれたんですが」
「あまり落語というものに馴染みのないお客様ばかりでして」
「通常ですとわたしがこう、袖から舞台に登場した際に皆様から拍手をもらいますよね」
「そして、高座に上がって座り、お辞儀をする時にも拍手をいただくはずなんですが」
「どうにもいただけませんで、『あの、こういう時に拍手いただけるとありがたいんですが』と申し上げますと」
「仕方なさそうな義理の拍手がぱらぱらとありました」
「それに比べて、今日のお客様は、もう素晴らしいですね」
春風亭一朝◆壺算
小咄:
「百貨店の地下にゆきますと、食品街となっておりましてね、なかなか楽しいですね」
「洋菓子を買い求めようと思いましたが、商品の名前が横文字ばっかりで、あたしの様な年代の人間には読み辛くてしょうがない」
「そこへ年配の女性の方がすっとやって来ましてね、お店のショウケース見ながら、『あなた、これとこれと、それからこれと、あとこれをひとつずつちょうだい』」
「お店のお兄さんが答えて、『あのうお客様、ショウケースが影になっててこちらから見えないので、すいませんが名前云ってもらえますか?』」
「『・・・田中みどりです』」
お仲入りで御座ィます。
一左・一之輔・一朝・柳朝◆口上
昨日、柳朝師匠より電話にて司会をお願いされたという一左あにさん、師匠である一朝より「拙い司会」と評され、当の一之輔師匠にも「やっぱり頼むんじゃなかった」と散々な目に。
春風亭柳朝◆道灌
本編:
「ななへやへ ばなばざげども やまぶしの みそひとだると なべとかましき」
春風亭一之輔◆船徳
「今日はお子さんが何人かいらしてるみたいですね」
「先日、学校寄席で呼ばれまして」
「あれは強制的な学校行事ですから、聴く気があるこちらのお子さんとは異なる、聴く気が皆無な集まりですね」
「まァそれでもお仕事ですから、何席か演りまして、まったく受けない状態で高座を下りようとしましたら」
「先生が気を遣ってくれたんでしょうね、『はい落語家さんでした、みんなから質問があるかと思いますので、ここで質問コーナーにしますねー』」
「・・・おいおい早く帰らせてくれよ、と思いましたが、まァそこはお仕事ですから」
「『何か質問とかある人!』、・・・で、誰も挙手しないんですよ」
「(小声で)『学級長、がっきゅうちょう、気を遣え』」
「仕方なく手を挙げた学級長を先生が指差します」
「『えーと、三遊亭・・・』」
「春風亭ね、春風亭一之輔です」
「『あ、はいすいません、しゅうぷうていいちのすけさんに質問です』」
「はい、何でしょう」
「『えーと、おいくつですか?』」
「34です」
「『お若いですね』」
「『ありがとうございます』」
「『64くらいかとおもいました』」
「・・・」
「『ご家族は?』」
「カミさんと、子供がふたりです」
「『ふたりも・・・無計画ですね』」
「・・・」
「『えーと、今日は落語楽しかったです』」
「ありがとうございます」
「『・・・で、普段は何をされてるんですか』」
「ぶっ飛ばしてやろうかと思いました」
本編:
「我慢しない、辛抱しない、辛くなったら直ぐ止める」を条件に船頭となりました大家のしくじり若旦那の徳三郎、大川をいい様に流されてゆきます。
追い出しが鳴りまして、お開きで御座ィます。
折角の大田区ですから、と思いましたが、特に何も思い付かず、最早恒例となっております、豚の三層肉を斜めった鉄板でじうじう焼いてから葉物で包んで食す品でもいただきましょうかねぇ。
(了)
投稿者 yoshimori : June 21, 2012 11:59 PM