July 07, 2012

『侵略と統治』 (第27回)

◇女である。

◇内戦終結に向け、司令官として陣頭指揮を執ったり、個別に工作員として暗躍したりしている。
◇そんでもって某日未明、国土の北東に位置する敵方の本拠地に兵を率いて進撃し、敵陣首都を陥落。
◇投降命令に従わない反乱軍の首謀者たる総大将とその側近を武力行使にて鎮圧し、ようやっと内戦終結と相成った。
◇いっぱいひとが死にましたねー、などと誰に云うでもなく所感を述べていると、所属する陣営の総大将より、「何云ってんのさ小娘、ほんとに悲惨なのはこれからよ、じゃァ後は残党狩りよろしくねん」と肩を叩かれ、各地野営地に潜む敗残兵の一掃を託される。
◇・・・まァひまみて殺っときますよ。

◇総括。
◇万止むを得ずして馴染み深い知人も多い街での市街戦を展開し、非戦闘員たる一般市民に死傷者こそ出さなかったものの、終戦後に市内をそぞろ歩いていると、あれほど優しかった市民らから罵声を浴びせられたりして心的に大変辛い。
◇占領した地域の謁見の間には、当然新しい領主が玉座に鎮座ましましているのだが、室内には何故か反乱軍首謀者の遺骸が斬殺されたそのままになっており、戦争の悲惨さを訴えるには恰好な生々しい展示品となっている。
◇また、同室には反乱に加担した地域の代表と副代表らが一同に集められており、彼らの傍を通るだけで、またもや口汚く罵しられてしまうという戦争の英雄なのだった。(哀)

(續く)

投稿者 yoshimori : July 7, 2012 11:59 PM
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