August 04, 2012

『狂おしいほど咀嚼』 (第30回)

◇女である。(2人目)

◇最果てたる北東地域に来ている。
◇「大崩壊」と呼ばれている原因不明の災害の為、領土の大半が海底に没したという廃墟も同然の一地方都市である。
◇領主の嘆きも物悲しく、ため息混じりに「賊に奪われた家宝の品」を奪い返して欲しいと懇願される。
◇「あれさえあれば・・・誰にも馬鹿にされなくなるんだ!」
◇・・・24世紀の猫型ロボが救うべき駄目人間の台詞にしか聞こえませんが。
◇「いいから、あれを取って来てよ!」
◇はいはい、行って来ますよ。

◇闇に紛れながらの策敵と速やかなる排除を繰り返し、目的の品をゲット。
◇はい、これですね。
◇「これだよー、ありがとう。これで、世界の頂点に立ってやる!」
◇で、領主閣下、次は何を。
◇「あれさえあれば・・・誰にも馬鹿にされなくなるんだ!」
◇って、話がループしてるんですが。また盗られて、今度は違う場所ですか、じゃァ行って来ます。

◇行って来ました。
◇「これだよー、ありがとう。これで、世界の頂点に立ってやる!」
◇・・・台詞が同じなんですけど。次は?
◇「あれさえあれば・・・誰にも馬鹿にされなくなるんだ!」
◇えー? これ、いつまで繰り返すんですか。しかも取り戻しに行く場所は毎回違うし、どんだけセキュリティゆるゆるだ。

◇結論:人は愚かさゆえに同じ過ちを繰り返す。

(續く)

◇◇◇◇
(改題) 『侵略と統治』 #026-029
(改題) 『小夜啼鳥の左眼』 #021-025
(改題) 『流刑地より乗馬で3.5ハロン』 #013-020
(改題) 『1000万本の召喚の杖』 #012
(改題) 『黒馬新聞 北方版』 #007-011
(改題) 『月長石ト鍛造ト言霊ノ國』 #005-006
(改題) 『竜殺シ氷地獄』 #001-004

投稿者 yoshimori : August 4, 2012 11:59 PM
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