◇一軒家的な店にゆく。
◇外観はよく燃えそうな木造建築で、蔦のような植物に鎧われている。
◇暖簾をくぐり、中へ。
◇白木のカウンタアの前には樽状の椅子が置かれている。
◇奥には囲炉裏が掘られた板の間がある。
◇厨房は驚くほど薄暗く、鄙びた家屋の土間の風情。
◇柱や梁は飴色に近い年期の入った色味で、空調でさえ同色に染められている。
◇聞けば、創業五十年という。
◇大将は二代目ですか。
◇「いや、女房が二代目」
◇…遠慮深い店主である。
◇以下は喰い倒れた備忘録。
◇柚子味噌大根
◇味噌とらっきょう
◇つくね
◇舞茸
◇腿焼き
◇(銘柄失念)…ミニマムな角樽に二合
◇おくら
◇蓮根 …塩とたれ味
◇揚げ豆腐
◇ぼんぢり
◇鶏雑炊
◇以下は「予約品」なる項目に列記されていた。
◇(店名)鍋
◇冷し茶碗蒸し
◇自家製汐辛
◇レバーチーズ
◇枕そうめん
◇花小結
◇字面から想像力が働かない品目も幾つか見受けられる。
◇再訪問時には予約品で固めて、炭火の熾った囲炉裏を囲みたいと二代目の亭主に伝え、店を後にするのだった。
(了)
投稿者 yoshimori : October 24, 2012 11:59 PM