October 21, 2015

◆『勅使河原克彦の一生』

『神田松之丞とダーウィンルームの落語ラボ 第3回 講談編』
@世田谷区代沢五丁目 ダーウィンルーム2Fラボ

会場には実物の「鳥の巣」が展示されており、鳥の巣に囲まれるよう所狭しと客席の椅子が並びます。
出囃子もなく講談師が現れまして高座に上がり、釈台の前に座ります。

神田松之丞◆誰が袖の音吉 出世の生い立ち(誰が袖乙吉、違袖乙吉)

「…天井低いですね」(手を付く)

「講談の場合、実は出囃子がないんです」
「寄席で流れてるのは、そこだけ鳴らないのも寂しいんで合わせてるんです」

<本編>

後の「浪速三兄弟」のひとり、漁師の倅、音吉は大坂、侠客の親分、玄田源兵衛と市中で大立ち回り。
太刀に出刃包丁で刃向かうも太刀打ちできず親父に割って入られ、そのまま家に取って返し、抜けば錆散る赤鰯の道中差しを持ち出してリベンジ挑むも全く刃が立たない。
落ちは源兵衛の母親が「母に免じて倅を許してたもれ」と懇願され、源兵衛がぎゃふんとなる。

作中、「神田松之丞からもらった張り扇」が登場するが、神田アップルが水に浸してしまった為に残念なことになっている。

神田松之丞◆トメ

「(玉川)大福あにさんと話してましたが、講談と浪曲はほんとにヤバイんです」
「講談師は昔ッから偉そうにしてましたから、噺家さんにはすっかり嫌われまして」
「講談師をディスる噺が多いんですよ、『くしゃみ講釈』とか」
「(林家)彦いちさんから、噺ン中で『松之丞』と名指しでけなされますね」
「天保年間っていいますから1830年くらいですかね、講談師は江戸に800人いたそうです」
「今はぐっと減ってる上に、上がどんどん死んでゆくんです、笑い事じゃないんですよ」
「(三代目神田)山陽さんは北海道に行ったっきり行方不明ですね」
「…どうなっちゃうんでしょうね、講談業界は」

「…これから演るのは落語そっくりです」
「似ていますが、講談師の僕が演るので、これはれっきとした講談なんです」
「講談復興に祈りを捧げる一席です」
「…かつての僕の新作なんですけどね」
「深夜2時に爺ィが婆ァを起こすだけの、ただそれだけの話です」

<本編>

眠れずに夜中に妻を起こす夫は「自分は男として何点だ?」と尋ねます。
即答を渋る妻に対し、「ホームラン王、王貞治は何点だ?」と基準点を聞きますと、「45点」との回答。

「えー? 世界のワンちゃんでさえ55点か…じゃァ俺は?」
「55点」
「…総合的には低いけど、相対的には高いんだな、これで眠れる」

戦時中、大陸で起きた「佐藤上等兵」のエピソード。
刀剣で斬り合っていた中国人兵士の脚に咬みついた毒蛇を叩っ斬って手当てを施した上、また勝負を挑むという話の流れから、点数を訊くかと思えばそうでもない。

<サゲ>

「爺ィ、100点満点だよぅ」と気分が盛り上がる妻をよそに高鼾で眠る夫。
「…臆病者」

仲入り

神田松之丞・清水隆夫(ダーウィンルーム代表)◆質問コーナー

Q:(内容失念)
A:「『赤穂義士 徳利の別れ』におけるワンシーン、赤垣源蔵は不在の兄の羽織の前で酒を酌み交わしますが、史実の源蔵(赤埴重賢)は実は下戸で兄さえいないんです」

Q:「眼鏡をかけてらっしゃいますが、眼がお悪いんですか」
A:「一列目から見えません、(春風亭)一之輔さんや(初代林家)三平さんもそうみたいですね」

Q:(内容失念)
A:「噺家さんの楽屋は明るいんですけど、講談は暗いですね」
  「(神田)愛山さんっていうとても暗い方と、(神田)きらりさんっていう心に深い闇を抱えている方が話してるところ聞いてしまったんですが」
  「『俺、いつ死んでもいいと思ってるんだ』『そうですね、あたしもです』」
  「…まァ暗いですよ、楽屋は」

Q:「貰って嬉しい差し入れは何ですか」
A:「崎陽軒のシウマイ付き年賀状ですね」
  「普通にシウマイいただいても嬉しくないんですけど、これは引換券を店に持ち込んでシウマイが貰えるという画期的な年賀状でして」
  「攻めの姿勢でイケる、従来のシウマイの弱点を克服した差し入れですね」

Q:「逆に僕から質問しますね、そこに制服着た女の子がいるんで、少し伺ってみましょう、お名前は?」
A:「ミクです」
Q:「え、本名ですか?」
A:「本名です」
Q:「お幾つですか」
A:「16歳です」
Q:「僕の半分ですね、僕32歳なんですよ。どうして講談を聴いてみようと思ったんですか?」
A:「学校に神田ナガレさんていう講談の方が来たんです」
Q:「だ、誰ですか? ナガレさん?」
A:「はい、それで聴いてみようと思いました」
Q:「…僕、何点ですかね」
A:「…えーとぉ、83点ですね」
Q:「83かー、ちなみにナガレさんは何点でした?」
A:「ナガレさんは68点です」
Q:「シビア…ありがとうございました」
A:「ありがとうございました」

Q:「講談は誰から聴いたらいいですか」
A:「そうですね、三代目神田山陽さんですかね、北海道行っちゃって帰って来ないですけど」
  「あとは宝井琴調さんですかね」

Q:「どうやったらそんなたくさん話を覚えられますか?」
A:「僕は記憶力がいいほうではないんですけど、やはりプロの講談師ですから覚えられます」
  「趣味で演ってるわけではなく、覚えて話してお金をいただいているわけですから、覚えられないということはありません」
  「『首無し事件』という45分の話がありますが、三時間で覚えました」

Q:「僕は何点ですか? わかってますよね? これで最後ですよ!」
A:「100点満点です」
Q:「ありがとうございました」
A:「ありがとうございました」

(了)


<覚ヱ書キ>

・千扁四季豆
・樟茶豚舌
・芦筍香姑
・泡菜
・担仔麺

投稿者 yoshimori : October 21, 2015 11:59 PM
コメント
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?