義盛記

「開口一番」

桂米團治◆親子茶屋

「最後の四天王、（桂）春團治さんが亡くなってしましまして」
「（笑福亭）松鶴さん、先代の（桂）文枝さん、うちの米朝、そして春團治さんですわ」
「新聞では四天王が全員亡くなってこれで上方落語も終いやーなんて云われてますが、この四天王の倅がひとり居りますんで！」
（拍手）
「春團治さんこそ、ほんまもんの御曹司ですわ、所作のきれいな方でしたなァ」
「…師匠にはいろいろとお世話になったんですがね、思い出話と云えば、もうしくじりしかないんですわ」
「春團治さんに稽古をお願いしてまして、私うっかり曜日を間違えてたんですわ」
「家に帰ってそれに気付いて、慌てて電話しましたら、『（低音で）春團治です』とお電話に出られましてね」
「『僕は君が来ると云うから、午前中に病院に行ってずっと待っていたんだよ』がちゃん！」
「切られてしまいまして、こらァあかんとしくじったと、車で春團治師匠の家を目指したんですよ」
「師匠の家に着いたんですが、留守みたいでして、しばらく車ん中で待ってたら、奥さんと一緒に帰ってきはったんですよ」
「ばーんてドア開けて『師匠ーっ！』と呼び掛けましたら、『うわーっ！ …何や君か、刺されんのかと思たわ』ってまたしくじりですね」
「それでもどうにか謝り倒しましてどうにか許してもらえたんですけど」
「…その次は私の襲名披露の時で、もう舞い上がってしまって記者会見の時に『小米朝改め春團治です！』ぅ云いましてね…」
「次の日からそれが出回りまして、またしくじりなんですわ」
「車で師匠方にご挨拶に回らしてもらして、春團治師匠の御宅にも伺いまして激励されたりしまして」
「で、次の師匠宅の（桂）文珍さんの御宅に向かおうと車走らせて高速に乗りましたら携帯電話が無いのに気付いたんですよ」
「一緒に車に乗ってた（桂）ざこばにいさんが私の番号に電話しましたら、女性がの方が出まして『あんた誰や』って聞きましたら」
「『はァ私、春團治さんの向かいの家のもんです』って答えますから、『後で伺いますんで春團治師匠のおうちに預けてください』と頼んだんです」
「そしたらですね、私らが車で文珍さんの家に向かう時間に着けなかったんで、文珍さんが私の携帯に電話したんですよ」
「『（低音で）春團治です』」
「『またまたー、君は米團治でっしゃろー』」
「『春團治です』」
「『もう、あんたは、よ・ね・だ・ん・じ』」
「『春團治です！』がちゃん！」
「ってまたしくじりですわ」

桂歌之助◆道具屋

「学校寄席に行ったんですよ」
「…小学校だったんですね」
「いきなり落語始めてもわからないでしょうから、まずは基礎からってことで」
「これは誰でしょうってところから始めたんですよ」
「『おい、ｘｘｘｘｘ』」（台詞は失念）
「『はい、これは？』」
「子どもたちは答えますね、『おとこのひとー』」
「『（子どもの声で）おとーちゃん、おとーちゃん』」
「『はい、これは？』」
「『こどもー』」
「『ちょいとお前さん、起きとくれよぅ』」
「『はい、これは？』」
「『おかまー』」
「…まァ男が女の声出せばそうでしょうよ」

桂米團治◆蔵丁稚

どうしても芝居演目ですと、市川團十郎の声色になります。

中入

桂米團治◆くしゃみ講釈

「今度、狂言オペラを演ることになりまして」
「ほんまは一出演者やったんですけど、脚本の方がドタキャンされましてね」
「主催の方から『米團治さん、モーツァルトの生まれ変わりとか云うてましたよね？』って云われまして」
「『違います』とも云えず、断れなくて引き受けてしまったんですけど」
「脚本と演出をやらしていただくことになりました」
（拍手）